※本作はデベロッパーCreatedelic, LLCと協働し、Indie Freaksが日本向けマーケティングの一部をサポートしています。
『Starstruck 時をつなぐ手』は、未来の地球を救うキーパーソンとなる少年少女の物語を追いかけ、時折自らが手助けしていくSFリズムアドベンチャーゲームだ。アメリカのゲーム開発スタジオ"Createdelic, LLC"が手掛ける。
未来世界では既に滅亡している地球を救うべく、歴史を変えるために過去へとタイムトラベルしていくという壮大なSF冒険譚ながら、シュールでコミカルな雰囲気と、工夫されたメカニクスが独特の魅力を放っている。本稿では、そんな本作の内容についてご紹介しよう。
未来を変えるため少年少女の姿を追いかけよう
本作の舞台は、西暦20xx年の地球。西暦30xx年の未来では地球は滅亡しており、そんな未来を変える使命を負った主人公は宇宙船に乗り込み、船に搭載されたAIのハドリーと共にタイムトラベルしてきた。
そこで、歴史の転換点において重要なキーパーソンとされる「A11」こと少年エドウィンと、彼を取り巻く人々の行動を宇宙から観察し、歴史を変えるための手がかりを探していく――というのが本作のストーリーだ。
こう書くとなんだかシリアスな物語なのかと思うかもしれないが、実際にプレイしてみるとそんなことはなく、作品全体はコミカルな雰囲気で包まれている。
本作のゲームシステムは、宇宙船から地球の出来事を追いかける主人公と、主人公に見られていることにはまったく気づいていないエドウィンたちの2つの視点で構成されている。主人公は一人称視点、エドウィンたちは見下ろし型の三人称視点で描かれ、ゲームとしての見え方が異なるのも面白い。
基本的には、エドウィンを操作しながら彼の周囲で巻き起こるストーリーを追いかけていき、なにかトラブルが発生すれば主人公がそこに干渉するという流れだ。
そういうわけで、まずはエドウィンのパート。親友ザックと小さなバンドを組む彼は、地元の人気バンドの「ツードリームス・ティルスリープ」を率いる少女ドーンに誘われ、彼女たちの前座としてライブハウスで演奏するために会場に向かうことになる。
もちろん、まっすぐ目的地に向かってしまっても良いが、町を見て回ってさまざまなものを調べてフレーバーテキストを読んだり、住人たちに話しかけてみたりするとより本作の魅力が湧き出てくる。それはどことなくだが『MOTHER』シリーズを思い起こさせるかのよう。
これは、本作の日本語翻訳を手掛ける英日ゲーム翻訳者の伊東龍氏の手による表現の巧みさも寄与しているのだろう。
さて、町を十分に見て回ってからライブハウスへと向かったエドウィンだったが、入口には自称用心棒が立ちふさがっていて入ることができない。このままでは彼の物語が終わってしまう――。
ここで、宇宙からその様子を見ていた主人公の出番となる。未来のプログラムを使って町中へと自身の手首から先を巨大化して実体化させ、住人たちを弾き飛ばし、町を破壊していくのだ。
なにを突然と思うかもしれないが、これは未来から過去へと干渉することで変化を与える行為。ジオラマを模したような町並みはまるでおもちゃにように壊れていくので、あまり罪悪感らしきものも感じさせない。事が済めば、町も人も未来の技術できれいさっぱり元通りになるのでなにも気にすることはないというわけ。
このシーンでは、未来の仲間の手によって巨大なハンマーが時空の狭間から出現し、それを振って邪魔な柵を壊してしまうことで、エドウィンは用心棒を避けて無事にライブハウスへと入ることができるようになった。
タイムパラドックス? バタフライ効果? それこそ歴史を改変したい主人公の望むところだ。
音楽を奏でて自分を表現しよう
ライブハウスに入るとシーンが変わり、ここからは音楽パート。楽曲に沿って画面上に流れてくるノーツ(アイコン)に合わせて、タイミング良くコントローラのボタンや、キーボードを押していくというリズムゲームをプレイすることとなる。
音楽は彼らにとっての自己表現の手段であり、本作のストーリーにおいても重要な意味を持っている。物語にしっかりと組み込まれているだけに、筆者のようにリズムゲームが苦手なプレイヤーも避けて通ることはできないのだが、その点は安心してほしい。
ゲームシステムのオプションとして「難易度設定」と「自動演奏」が用意されていて、特に後者をONにすれば見ているだけでクリアも可能だ。物語だけを楽しみたいというプレイヤーにとってもこれはありがたい。
こうした音楽シーンでは、先述の人気バンドのギターボーカルであるドーンの歌声として、歌手・声優として活躍されているElsie Lovelock氏がオリジナル楽曲を提供しており、その歌声にも注目。
また、コントローラやキーボードだけでなく、Harmonix Music Systemsが手掛ける『ギターヒーロー』や『Rock Band』で使用される「ギター型コントローラー」にも対応していて、リズムゲームへのこだわりも感じられるところだ。もし、ギター型コントローラをお持ちの方は、ぜひ難易度を上げて演奏に挑戦してみてはいかがだろうか。
この音楽パートにおけるリズムゲームは、宇宙船のプログラムにある「フリープレイ」からあらためてプレイすることが可能。選択できる楽曲はストーリー進行に合わせて解除されていくので、本作をプレイし終えた後もリズムゲーム単体で楽しむことができる素敵な仕組みとなっている。
地球の運命を左右する物語を見届けよう
ここまでにご紹介したように、冒頭ではエドウィンを操作していくこととなるが、音楽パートを終えると少女ドーンも観察可能となる。地球の運命に関わるキーパーソンはあくまでエドウィンだが、どうやら彼の運命にとって彼女は重要な意味を持つことになるようだ。
そうして、主人公はエドウィンだけでなく、ドーンの物語も追いかけていくこととなるのだが、エドウィンの目からはきらきらと輝いて見えた彼女にも、自身を取り巻く環境や、家族との関係性など悩める思いがあることが描かれていく。
彼女の行動がどういう形でエドウィンの運命に絡んでいくのだろうか。
突然、町を破壊し始める巨大な手のシーンにはちょっと笑ってしまったが、そうしたシュールでコミカルなシーンだけではなく、地球を救うという壮大な目的に対して、特異点として1人1人の人間にフォーカスしてナラティブに掘り下げていく描き方も本作の大きな魅力だ。
演奏が得意な方もそうでない方も、さまざまな登場人物たちの出来事が交錯する本作をぜひ体験してみてはいかがだろうか。
基本情報 | Starstruck 時をつなぐ手 |
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開発 | Createdelic, LLC |
販売 | Createdelic, LLC |
配信日 | 2024年9月16日 / 日本語有り |
定価 | 2,300(Steam) |