2024年7月19日~21日(一般公開日は20~21日)にかけて、京都みやこめっせにて開催された日本最大級のインディーゲームの祭典「BitSummit Drift(ビットサミット ドリフト)」の出展作品より、筆者が注目する魅力的なタイトルをピックアップしてご紹介しよう。
なお、基本的にはリリース前の開発中のタイトルや、リリースから間もないタイトルを対象としている。
ジオラマ風の世界で繰り広げられる音楽冒険譚
『Starstruck 時をつなぐ手』は、未来の地球を救うために、ジオラマ風の世界に生きる2人の少年少女の物語を体験するリズムアドベンチャーゲームだ。アメリカのゲーム開発スタジオ"Createdelic"が手掛ける。
あなたの目的は滅亡の危機に瀕した未来の地球を救うために、30xx年から遥か過去の20XX年にタイムトラベルして、歴史を変える手がかりを見つけ出すこと。ミッションを成功させるために、奇妙で不思議な世界を舞台に冒険を繰り広げよう。
今回の試遊体験版では、物語の冒頭から序盤にかけて体験することができた。
未来の地球を救うため、宇宙船に乗ってタイムトラベルしてきた主人公。船に搭載されたAIのハドリーと共に、歴史の転換点において重要なキーパーソンとされる「A11」こと少年エドウィンの行動を追って、地表を観測していくこととなる。
ここで一人称視点の船内から、エドウィンの操作に移ると見下ろし型視点となり、キャラクターもデフォルメされた形に。彼の住む小さな町はジオラマ風で描かれているところもユニークな雰囲気だ。
町は自由に探索可能。さまざまな場所を調べて住人たちと会話すると、小気味よい小ネタだったり、ちょっとヘンテコだったり、何となく深い話を聞けたりする。筆者の主観では、この雰囲気は『MOTHER』シリーズに通じるものがあるように感じた。
親友ザックと小さなバンドを組むエドウィンは、地元の人気バンドを率いる少女ドーンに誘われ、彼女たちの前座としてライブハウスに向かおうとするも、自称用心棒に阻まれて入ることができない。
ここで主人公の出番だ。未来のプログラムを使って自身の手首から先を巨大化させて、エドウィンの住む町に出現させられる。どうにかしてエドウィンをライブハウスに導くことが目的だが、ここでは町を自由に破壊することができる。
未来からの干渉はタイムパラドックスを引き起こしかねないが、そもそも主人公の目的は未来を変えること。破壊行為によって変化が生まれ、役立つ道具が出現するのだ。
そんなわけで町を破壊しまくり、住人たちを弾き飛ばしていくと「ハンマー」が出現。これで柵を壊せばエドウィンは用心棒を迂回し、無事ライブハウスへと入ることができた。ちなみに破壊された町は謎の技術で元通りになるので、プレイヤーは何も気にしなくていい(いや気にするけど…)。
音楽を奏でて自分を表現しよう
エドウィンがライブハウスに入ると、ここでイベント。奏でる楽曲に沿って流れてくるアイコン(ノーツ)に合わせて、タイミング良くコントローラのボタンを押すという演奏パートが始まる。
実は壊滅的にリズムゲームが苦手な筆者だが、ゲームシステムのオプションとして「難易度設定」と「自動演奏」が用意されていて、後者を有効化すれば何もしなくとも自動的に成功判定となってくれるのは嬉しい。
本作において音楽という要素は重要な立ち位置を占めているようで、ギター型のコントローラーにも対応してところからも、そのこだわりを感じられる。音楽を通じてエドウィンやドーンたちのパーソナルな部分が描かれていくので、システム面の充実したサポートはありがたい。
そして、操作キャラクターがエドウィンからドーンへと移り、人気バンドの地位を得ながらも彼女なりの悩みなどが描かれていくのだが、コミカルでいてカオス。ナラティブな要素もある本作が、ここからどういった展開になっていくのか製品版に注目したい。
本作の体験版はSteamでも配信中。本稿の執筆にあたり筆者もあらためてプレイしてみたが、おそらくBitSummit Driftの体験版と同じ内容が収録されているようなので、会場に足を運べなかった方もぜひプレイしてみてはいかがだろうか。
『Starstruck 時をつなぐ手』は、2024年9月16日にリリース予定だ。
今回の試遊体験版の翻訳は英日ゲーム翻訳者の伊東龍氏が担当されている。既に製品版のローカライズもほぼ完成しているとのことなので、登場人物たちの心情までもよく表した、伊東氏の翻訳にも大いに期待している。
基本情報 | Starstruck 時をつなぐ手 |
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開発 | Createdelic, LLC |
販売 | Createdelic, LLC |
配信日 | 2024年9月16日 / 日本語有り |
定価 | 未定(Steam) |