煌めく星の力を操作して運命を乗り越えよう! ダイス構築型ローグライト『Astrea Six-Sided Oracles』

LayerQ

2023/10/04

Slay the Spire』が大ヒットしてから「デッキ構築型ローグライト(ローグライク)」というジャンルが確立され、今もそのジャンルには新たなタイトルが次々と誕生している。『Vault of the Void』『Wildfrost』『Backpack Hero』などのように、『Slay the Spire』のエッセンスを磨き上げたり、ユニークな形にしたりして新しい面白さを作り出したタイトルが多数ある。

そして、今回紹介する『Astrea Six-Sided Oracles』も、間違いなく同ジャンルで独自の輝きを放つタイトルだ。筆者と同じくこのジャンルの新作に飢え続けている方々には、ぜひともオススメしたい。

Astrea: Six-Sided Oracles on Steam
Astrea is a DICE-deck-building roguelike that flips the script on deckbuilders by using dice instead of cards and an unique dual “damage” system: Purification vs Corruption. Build a dice pool strong enough to purify Astrea’s out-of-control corruption and save the Star System.

本作は、カードの代わりに6面ダイスを使用してターン制バトルを繰り広げるため、どうしても運の要素が絡む局面もある。しかし、ユニークな戦闘システムや、ダイスの出目をコントロールする手段、どのダイスを手にするかという選択など、それらを最大限利用することで与えられた運命に抗う方法が用意されている。

本作のルールは独自の用語で説明され、ストアページなどを見てもやや想像しづらい箇所もあるため、この記事では基本的なゲームシステムを中心に詳しく紹介していこう。

基礎となる概念は「正と負の存在」

Astrea Six-Sided Oracles』には独特なシステムが多数搭載されているが、もっとも基本的で、もっともユニークなシステムを最初に説明しよう。

本作では、味方側をプラスの存在、敵側をマイナスの存在として考えている。

例えば、「プラスの効果 3」というダイスがあった場合、それを味方に使えば体力が3回復するし、敵に使えば3ダメージを与えられる。そして、同様に「マイナスの効果 2」というダイスは、味方に2ダメージを与え、敵を2回復させる。

通常のカードゲームであれば、「ダメージを与えるカード」は基本的にその効果しかなく敵にしか使えないが、本作ではそれをプラスの効果で味方にも使えるというイメージだ。選択肢の多さは戦略の幅にも繋がるので、1枚のカード(ダイス)に秘められた戦略は、この時点で通常のカードゲームより幅広い。

そして本作では、この「プラスの効果」を「浄化」と呼び、「マイナスの効果」を「堕落」と呼ぶ。

▲青い出目が浄化(プラス)、赤い出目が堕落(マイナス)を表す

1つのダイスには浄化(プラス)と堕落(マイナス)の出目が混在していることが多く、毎ターン開始時にドローするダイス群は浄化目だったり堕落目だったりする。つまり、配られた浄化と堕落を上手にコントロールしながら、勝利を目指すゲームなのだ。

堕落をその身に受けることが徳となる

ところで、プレイヤーの最大体力は7で固定されている。体力がなくなると「ハート」を1つ失って体力を7得るが、ハートを3つ失えばゲームオーバーとなる。

中盤にもなれば50~100ほどの体力を持った敵が襲いかかってくるというのに、こちらは堕落を7受けただけで敗北にかなり近づく。そんな状況では、先述の「自分に堕落を与える」という選択肢はあまり考慮しなくていい手段のように思える。

しかし、ここで「徳義」というシステムが活きてくる。これは自分が受けた堕落の値に応じて入手できる特殊スキルだ。

ここからは具体例を挙げないと説明しきれない気がするので、初期キャラクターの「ムーニィ」に登場してもらおう。彼女の徳義は以下のようなものになっている。

  • 堕落の値に関係なく「手持ちの堕落を浄化に変える
  • 堕落が計1で「ダイスを最大2個リロールする
  • 堕落が計3で「敵に浄化4を与える
  • 堕落が計5で「ダイスを1個ドローする
▲受けている堕落の値によって、特殊スキルが使えるようになる

入手した徳義は好きなタイミングで発動でき、使用しなければ次ターンに持ち越せる。ただし、徳義を入手できるのは「堕落がその値になった瞬間」と「ターン開始時に堕落がその値に達している場合」だ。

前者の仕組みを利用して状況をコントロールすれば、非常に有利な展開を作り出せることがある。要は、堕落を徳義を入手する値で行き来させれば、1ターンに狙った徳義を複数回使えるのだ。

堕落の値が3になった>徳義「敵に浄化4を与える」入手&使用>浄化のダイスで体力1回復(堕落の値は2)>堕落のダイスで1ダメージを自ら受ける(堕落の値が3になった!)>徳義「敵に浄化4を与える」を入手…

上記の流れは、手段があるのであれば1ターンに何度でも繰り返し発動できる。もちろん、徳義によって敵を倒すことも可能だ。徳義のシステムだけでも、「自分に堕落を与える」という選択に価値が生まれていそうだが、次に紹介するシステムがそれをさらに有効な選択として押し上げている。

敵に堕落を与えて処理すればよくない?

伝え忘れていたが、配られたマイナスの効果を持ったダイスは必ず使用しなくてはならないというルールがある。ここで、「それなら、堕落のダイスを手にしたらとりあえず敵に使って、良い出目が出るのを待てばいいんじゃない?」と思った方は優れた戦略性を備えた方だろう。

▲こんな状況なら、堕落のダイスを全て敵に使えばよさそうに見える

しかし、今回最後に紹介する基本システム「絶対堕落」がその選択を思いとどまらせる。

敵は体力と別に「絶対堕落」というゲージと特殊なスキルを必ず持っている。敵の受けた堕落の合計値が絶対堕落の値に達すると、特殊なスキルが発動される。それは、ダメージを与えるものであったり、敵を強化するものであったりして、だいたいは強力なスキルだ。

画像に出現しているカニのような敵を例に取ると、堕落を計6受けると絶対堕落が発動し、攻撃力がアップする。絶対堕落が発動するとゲージは0に戻るが、再び計6の堕落を受けると攻撃力がさらにアップすることになる。

▲絶対堕落化するたびに敵の攻撃力が上がっていく

ここまで紹介した「浄化と堕落」「徳義」「絶対堕落」のメインシステムが全て繋がって、ダイスの使い道をいろいろと考えられるのがとても楽しい。

「堕落3を与える」というダイス1つでも……

自分に使用して徳義を発動させるために使おうか、7しかない体力で3ダメージも受けて問題ないか、自分の体力が厳しそうなら敵に使ってしまうか、そのとき敵の体力が回復するだけでなく絶対堕落も蓄積していくが問題ないか、いっそ絶対堕落を発動させてしまうか……

というようなことを、あれこれと考えていける。先述したが、1枚の手札(ダイス)に対しての選択肢の多さが『Astrea Six-Sided Oracles』最大の魅力のように感じている。

もうここまで書いてしまったついでに…

長々と書いてしまったが、その他の興味深いシステムも箇条書きで紹介しておこう。ただし、筆者がプレイした範囲内での認識なので、例えば、6面ダイス以外が存在している可能性もわずかにある。

  • カードの代わりに使用するのは6面ダイス。敵も6面ダイスを使用する。敵は基本的に1個のダイスしか振らないが、プレイヤーは初期4個のダイスを振って戦う。
  • ダイスの出目には「特定のダイスをリロールする」「特定のダイスの出目を選択する」「堕落を浄化に反転させる」など、運の要素をコントロールするような効果を持つものがある。
▲その他にもさまざまな特殊効果を備えたダイスが存在する
  • はじめに複数のキャラクターから1人を選ぶ(最初は1人だけしか居ない)。それぞれが独自の徳義と異なる初期ダイスセットを持っている。また、そのキャラクターでしか出現しないダイスやアイテムがある。
  • 道中で「センチネル」と呼ばれるサポートキャラクターを最大2つまで入手できる。各センチネルは異なるダイスを1つ持っており、特殊スキルを備えているものもある。センチネルそのものをアップグレードすることも可能。
  • ダイスを破壊してデッキを圧縮する手段や、出目を購入して好きなダイスの出目と入れ替えるアップグレードなどがある。もちろん、常に効果を発揮するアイテム(星の祝福)もある。
▲日本語翻訳の品質は基本的に十分だが、たまにスキル説明がおかしいものがある。現時点で、敵の特殊能力の説明が異なる箇所を1件見つけているが、アップデートで改善されると思われる。
  • 1周クリアするには1時間~1時間30分ほど。隠しボスも存在し、そこまで遊ぶと2時間ほどかかるので、独特なルールと相まってカジュアルさは多少失われている。
  • いわゆる「アセンション」のような、クリア後に難易度を上げての周回要素がある。

星に降りかかる運命に抗おう

最後になったが、本作の素敵なアートスタイルも大きな魅力のひとつだ。滅びゆく星をめぐる冒険を通じて、お気に入りのキャラクターを見つけてみよう。どのキャラクターも強力で独自の戦略を持っているので、デザインの好みで選ぶのもよさそうだ。

それでは、読者のみなさんもダイス1つに運命を翻弄される、もしくは、その運命を捻じ曲げる冒険を楽しんでいただけることを願っている。

基本情報 Astrea: Six-Sided Oracles
開発 Little Leo Games
販売 Akupara Games
配信日 2023年9月22日 / 日本語有り
定価 2,800円(Steam

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発売日2022年10月5日
ジャンル
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インディー

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Vault of the Void

Vault of the Void は「デッキ構築型ローグライト」ゲーム。 探索を進めながら臨機応変にデッキを組み替え、君だけの戦略を作り出せ。 立ち塞がる虚無『The Void』とその狡猾なる手下を倒すべく、新たな力をカードに吹き込もう。

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ゲームについて

本作は、あらゆる要素をコントロールできる1人専用のローグライトカードゲームです。



Vault of the Void は、『ランダム要素を減らし、可能な限りプレイヤーの手にコントロールを委ねる』というコンセプトで制作されています。 「獲得できるカード」と「遭遇する敵の情報」は事前に確認でき、それに合わせてデッキを調整できるのです!ランダムイベントも発生せず、進むべき道筋がマップ上に明確に示されます。

既存のトレーディングカードゲーム同様、いつでも自由にデッキを構築できます。 交戦前にデッキのカードを入れ替えることで、敵の戦略に柔軟に対応し、より有利な状況で戦えるようになります。

パージを活用しよう


戦闘は常にスピーディーに展開します! 手札のカードをエナジーに変換できる「パージ」というシステムがある為、「カードを捨札に送って追加でエナジーを獲得し、高火力のコンボを叩き込む」なんて芸当も可能です。

カードをカスタマイズしよう


強力なルーンが刻まれた『虚空石』をカードに装着することで、新しい効果をカードに付与できます! 虚空石をどのカードに装着するかは、絶えず変化する戦略の一部と言えるでしょう。

主な特徴

  • 独自の「強化」が可能な440枚以上のカード
  • 四つのクラス - 各クラスが二つの初期デッキと固有スペルを持ちます
  • アンロック可能なコスメティック要素(裏面デザイン、バトルフィールド、オルタナティブアート、パージ・エフェクト)
  • スペルとアビリティ - カードプレイに新たな要素をもたらします
  • ユニーク、かつ丁寧に描かれた90体以上のモンスター
  • 6種類の虚空石 - カード強化と組み合わせることで最大14種類のカードバリエーションを生み出します
  • 320種類以上のレリック

思いのままに、デッキを操る

Vault of the Void は従来のデッキ構築型カードゲームとは異なります。 各戦闘前にデッキの中身を変更できるのです。 モンスターや守護者に挑む前に、自ら定めた戦略を修正し、適応することが求められるでしょう。 出血カードをレイジを増やすカードに入れ替える事が、「勝敗の大きな分かれ目」となりえるのです。

プレイすればするほど、敵に関する知識が深まり、立ちはだかる相手を、どのデッキタイプで対処すべきかが分かってくるようになります。

カードの強化・調整

Vault of the Void の最たる特徴のひとつに、「カードをカスタマイズできる」というものがあります。 探索を進める中で手に入る「虚空石」は、カードに装着することで追加効果を付与する力を秘めています。

例えば、通常5ダメージを与えるのみのカード「スラッシュ」に 「黄の虚空石」を装着すれば、追加で4ブロックを獲得できます。 あるいは、「青の虚空石」を装着すれば、「カードを1枚引き、 1枚捨てる」という効果を付与できます。 何百もの組み合わせを試し、それぞれがどう作用するかを学び、そして楽しむのが本作の醍醐味です。

しかしそれだけではありません! 全てのカードは、よりダイナミックかつパワフルなカードへと「強化」できるのです! 各カードは(数値上昇にとどまらない)独自の「強化後」を持つだけでなく、虚空石を装着できます。 どんなに地味なカードでも、戦略の大きな柱となり得るのです。

目まぐるしい戦闘

Vault of the Void では、テンポの良いおなじみのカードバトルに、わずかながら独自の調整を加えています。

各ターン開始時、従来通りエナジーは回復しますが、どのカードをプレイし、どのカードを今後に向けて犠牲にするかは、カードを「パージ」することで最終的に決まります。 右クリック長押しでカードをパージすることで、カードを1枚捨札に送り、エナジーを1獲得できるのです!

敵が自身のターンに攻撃を行うと、プレイヤーの「脅威」が増加します。 次のプレイヤーターン終了時、持っている脅威の分だけプレイヤーのHPが差し引かれます。 「ブロック」カードをプレイすることで受けた脅威を減らすことができます。敵に攻撃を加えるか、もしくは生き残る為に防御をするか――難しい判断を迫られることになります。

「脅威」のこうした仕様は、プレイヤーの精神的負荷を大きく軽減してくれるでしょう。 ブロックをどれだけ積めばいいかをいちいち計算する必要はもはやありません。 もし「20の脅威」を受けているのなら、「20ブロック」を獲得してダメージを食い止めればよいのです!