【TIGS2024】スポンサーに忖度しつつ、自身のコメントで世論を操作する報道シミュレーション『コメンテーター』ブースレポート

ばんじーよこすか

2024/03/04

2024年3月2日~3日に、東京・吉祥寺にて「TOKYO INDIE GAMES SUMMIT 2024(以下、TIGS2024)」が開催された。

TIGSは2023年に初めて開催され、インディーゲームの新たなイベントとして注目を集めている。第2回目となるTIGS2024では「武蔵公会堂」と「吉祥寺東急REIホテル」をメイン会場に、133のゲームタイトルが出展された。さらに、キッズ向けワークショップや豪華ゲストを迎えたステージイベントなども開催。詳細は、こちらの記事を参考にされたい。

本稿では、筆者が本イベントで試遊して気になったタイトル『コメンテーター』をご紹介しよう。

週末は吉祥寺を巡りながらインディーゲームイベントを楽しもう! 「TOKYO INDIE GAMES SUMMIT 2024」
2024年3月2日(土)~3日(日)にかけて、東京・吉祥寺にてインディーゲームのイベント「TOKYO INDIE GAMES SUMMIT 2024」が開催される。3月2日(土)はビジネスデイ、3月3日(日)は一般公開日となっている。
▲JR 吉祥寺駅に掲示されていたエリアマップ

ニュース番組に出演してコメントしよう!

コメンテーター』は、テレビニュース番組のコメンテーターとなり、世論を操作していく報道シミュレーションゲーム。プレイヤーは視聴者の関心を引きつけつつ、スポンサーを満足させるコメントのスタンスを選択していく。開発は、本作が第一作目となるテバサキゲームズが手掛ける。

物語は、日本の大人気番組「NEWS SQUARE」のコメンテーターの就任を祝う番組プロデューサーからのメールで始まる。

▲番組プロデューサーからの打ち合わせ依頼のメール

プレイヤーは、テレビ局で番組プロデューサーのウメサワ氏と「NEWS AQUARE」で取り上げるニュースについて打ち合わせをする。その際に、政治やエンタメなどさまざまな分野のニュースに対するコメントの方向性を「強く支持」「支持」「不支持」「強く不支持」の4つの中から選ばなくてはならない。

▲一度見たら忘れられない番組プロデューサーのウメサワ氏

ただし、1つのスタンスに対して選択できるニュースは1つだけ。たとえば、すべてのニュースを強く支持することはできないのである。視聴者の注目を集め、時にはスポンサーに対して忖度しながら適切なスタンスを選ぶことが求められる。

▲ニュースに対するスタンスを決定していく

すべてのニュースに対するスタンスが決まれば、番組はスタート。選んだスタンスに基づいて、具体的にどんなコメントをするかチェックしてみよう。コメントの内容によって、その後のコメンテーターを取り巻く世界が変化していく。

あくまでもプレイヤーが決められるのは、コメンテーターとしてのスタンスのみ。時には、プレイヤーが意図していない解釈でのコメントになる可能性もある。

▲左側の手がコメンテーターであるプレイヤー、右側の女性がキャスター

番組が終わったら、「番組の話題性」と「スポンサー満足度」が数値で表示される。この数値がプロデューサーの掲げる目標に到達しなければ、コメンテーターとしての仕事を失うリスクもある。

このように、毎日のプロデューサーとの打ち合わせでコメントのスタンスを決めて、番組に出演する。コメンテーターとして、できる限り多くの反響を呼ぶようなコメントをして番組を盛り上げつつ、世論、ひいては世界を変えていくのがこのゲームの目的だ。

▲話題性が10以上はなかなかの高評価とのこと

自身のコメントが世界を動かす体験

テバサキゲームズのメンバーは3名。建築士でもあるヒヅメ氏は、ゲームのプログラム以外をすべて担当している。数年前、『ヘッドライナー:ノヴィニュース』のようなニュースを選択して世論を動かすゲームに触発され、自分もゲームを作りたい! と思ったのだそう。

日本人がより身近で親しみを持ってもらえるように、日本のテレビのニュース番組を題材に選んだという。ニュースのジャンルは、政治経済などのシリアスなものから、芸能や動物まで幅広く、できる限りリアルなニュース番組を目指したのだそうだ。

ゲームのプログラミングは、ヒヅメ氏が『Minecraft』のイベントで出会ったプログラマーのテバサキ氏が担当。なんとテバサキ氏は現役の高校生で、Webアプリの開発も行うエンジニアでもある。なお、ロゴデザインやノベルティ類のデザインは、デザイナーのエリナ氏が手掛ける。

このゲームをプレイして、すべてが予想通りにいくわけではない面白さを感じてほしいとのこと。

今は、誰でもSNSで好きなように自分の意見を発信できる時代だ。しかし、自分がなにげない気持ちで投稿した一言で世界が変わってしまったら…。そんな風に考えたことがある方もいるのではないだろうか。

『コメンテーター』をプレイすれば、自身が選んだスタンスに基づいて発信したコメントで、文字通り世界を動かすという体験ができる。製品版では、とある未曾有の出来事が発生し、プレイヤーのコメントによってエンディングが変化していく。ゲームの中で「もし〇〇だったら、というIFの世界を感じてほしい」とヒヅメ氏は言う。

コメンテーター』の発売は、2024年夏頃を予定しており、現在はunityroomでデモ版をプレイできる。今後のイベントへの出展は未定とのこと。気になった方は、下のリンクから無料のデモ版をぜひプレイしてみてほしい。

tebasakigames lit.link(リットリンク)
プログラマー×建築家によるゲーム制作チーム「テバサキゲームズ」です。世論操作系報道ノベルゲーム「コメンテーター」を製作中です。、※現在、TIGS2024で遊べるものと同じ試遊版を公開中です。試遊映像の公開は自由です。試遊の感想やニュースネタ、アイデアなど、ぜひXでメンションしておしえて下さい!! 〈公開版との違い〉・打ち合わせで提示される付箋は4枚ともどこかにセットしましょう。・カウントダウンは表示のみなので気にせずプレイOK、SNS、Youtube、ブログ、商品、HPなど、いま見て欲しいリンクを、まとめてシェア
【試遊版】コメンテーター | フリーゲーム投稿サイト unityroom
基本情報 コメンテーター
開発 テバサキゲームズ
販売 テバサキゲームズ
配信日 2024年夏頃 / 日本語有り
定価 未定

この記事で紹介されているゲーム

ヘッドライナー:ノヴィニュース

インディー

アドベンチャー

シミュレーション

2018年10月24日
日本語対応
¥1,600
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発売日2018年10月24日
ジャンル
アドベンチャー
シミュレーション
インディー

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ヘッドライナー:ノヴィニュース

政情不安定な国ノヴィスタン。あなたはこの国唯一の新聞『ノヴィニュース』の編集長に就任しました。デスクには記者から様々な記事があがってきます。翌日の見出しを飾る記事を選択し、ノヴィスタンの世論を操作しましょう。

Check out our NEW game!


ゲームについて



プレイヤーのデスクに日々送られてくる様々なニュース記事をチェックしてみましょう。デスクの両側にはそ2つのスタンプが用意されています。採用なら緑、不採用なら赤のスタンプを押して新聞の見出しを飾る記事を選別していきます。

あなたは健康保険の国営化を支持しますか?しかし国民皆保険は医療費の増大と質の低下を招くでしょう。ある飲料会社がつくった合成アルコール飲料を糾弾しますか?しかしその会社は新聞社の重要なスポンサーです。そして、あなたは政府を批判し、フェイクニュースを垂れ流すあなたの新聞社を非難しますか・・・? どんな記事にしろ、それはプレイヤーの周囲にいる人たちや世界に素早く影響します。




プレイヤーが体験するストーリーには複数のキャラクターが関わってきます。あなたの上司や同僚記者、心に病を持つ兄、帰りがけに立ち寄る商店の店主・・・。

彼ら・彼女らには独自のストーリーがあり、プレイヤーが世の中を変えていくことで様々な結末を迎えることになります。あなたをサポートしてくれていたボスがある日突然秘密警察に逮捕されたら?同僚と恋愛の関係に陥ってしまったら?プレイヤーの決断が周囲の人物も巻き込んでいく様子を見てみましょう。





プレイヤーの選んだ道は必ずしも周囲の人たちに良い結果をもたらすとは限りません。よかれと思ってやったことが結果的に最悪の事態をもたらすことがあるかもしれません。例えば心に病を負っている兄弟を励ましていたつもりが、逆に負担を与えてしまうように。

繰り返しゲームをプレイすることで新しいキャラクターとストーリーが増え、ゲームはさらに深みを増していきます。本作の複数のトピックに対する立場を扱う処理は大変現実的につくられており、本作が高校のメディアリテラシークラスの教材として採用された実績もあります。



理想的なノヴィスタンの将来像に正解はありません。繰り返しプレイを続け、好みによってキャラクターの性別や外見などを変更を楽しみ、様々な結末を迎える14日後のノヴィスタンを見届けてください。



* 注意:もう一度よくお読みください・・・・・・#FakeNews #Sad