ボートに乗り込み、終末の地球から新天地への脱出を目指す旅『Highwater』

朝比奈 / Asahina

2024/03/15

本稿は事前にレビューキーをご提供いただき、執筆しています。

Highwater』は、終末に瀕した地球からの脱出を目指そうとする、主人公ニコスとその仲間たちの姿を描いたアドベンチャーゲームだ。セルビアの首都ベオグラードを拠点とする、インディーゲーム開発スタジオ"Demagog Studio"が手掛ける。

同スタジオの前作『Golf Club Nostalgia(旧題:Golf Club Wasteland)』と『The Cub』とは共通する世界観で、舞台となるのは終末的な未来の地球。直接的なストーリーの繋がりはないが、一連の作品群の中では最も過去の時代が描かれている。

Highwater on Steam
Earth has flooded and the planet is doomed, but there’s still time to enjoy the view. Guide Nikos and friends through the flooded world of Highwater and beyond in this story driven, adventure game where they’ll have to fight for their chance to escape.

水没した世界からの脱出を目指してボートを進めよう

先述のとおり、本作の舞台は未来の地球。未曾有の環境災害によって陸地の大部分が水没してしまっているが、まだかろうじて人類は生き延びている。しかし、無政府状態で治安は悪化し、富裕層は地球を放棄して火星への脱出を図ろうとしている。

そんな世界に見切りをつけた主人公の青年ニコスは、仲間たちと共に火星行きの宇宙船へと忍び込む計画に向かって動き出していく――というのが本作のストーリーとなっている。

本作のゲームシステムは、ボートに乗って水上フィールドを進みながら、ストーリーに沿った目的を達成していくというもの。ストアページの雰囲気からは水上探索ができるオープンワールドをイメージするかもしれないが、実際にはリニアなもので、多少寄り道をして収集物やアイテムを拾える程度となっている。

道中ではさまざまな場所に立ち寄って生存者と出会うことがあり、共に行動する仲間となるキャラクターもいれば、主人公たちに敵対して戦いに発展することもある。主人公たちは戦いへの躊躇がないのだが、それはまさに終末世界といったところか。

あらゆるものを利用して勝利しよう

敵との戦闘は、ターン制のタクティカルバトル方式。マス目状に区分けされた小規模な戦闘フィールド内で、キャラクター固有の武器やスキルを駆使して戦う。

単純な力押しでは勝つことが難しいので、敵の行動を妨げるスキルを使ったり、例えば「投げると爆発するドラム缶」などの戦闘フィールド内のオブジェクトを利用したり、遮蔽物に身を隠したりと戦略的な立ち回りが要求される。

前々作『Golf Club Nostalgia』はゴルフゲーム。前作『The Cub』は横スクロールアクションだったので、今作ではまたジャンルがガラッと異なる。共通する世界観は気になるが、このタクティカルバトルを攻略していけるか心配に思うプレイヤーもいらっしゃるかと思う。

難易度設定はないものの、『XCOM』シリーズのような本格的なものと比べれば難易度はマイルドな印象。もちろん、それなりに歯ごたえはあるので誰でも簡単に勝てるとは言わないが、もし負けてしまってもその戦闘の最初からリトライとなるだけなので、多少はハードルが下がった気分で挑めるのではないだろうか。

ラジオによって語られる世界観

ストーリーベースの作品において物語の背景や、その世界の動きの描写や演出は重要。それが上手くいっているかどうかでストーリーの深みも違ってくるからだ。

そこで登場するのがラジオ。以前の作品でも演出として用いられた、たまに流れるラジオ番組によってこの世界の情勢といったものが語られていく。ラジオのMCは皮肉とジョークを効かせているが、今起きていることをプレイヤーに向けて自然に説明してくれている。

本作は主人公ニコスの視点で進んでいくので、ともすればプレイヤーが知り得る情報が主人公たちが見えている範囲のみだけとなってしまいかねない。こうした現実とはかけ離れた世界観を、上手く表してくれる良い仕組みだと感じるものだ。

終末的な世界観を扱った作品には、不思議と惹かれてしまう一定層の根強いファンがいる。物語が進むにつれて徐々に明らかとなっていく世界の姿と、その結末を目撃したい方は、この水没世界に飛び込んでみてはいかがだろうか。


基本情報 Highwater
開発 Demagog Studio
販売 Rogue Games
配信日 2024年3月14日 / 日本語有り
定価 2,300円(Steam
1,980円(Epic Games
2,950円(Nintendo Switch
3,080円(PlayStation 5
2,350円(Xbox Series X/S

この記事で紹介されているゲーム

Golf Club Nostalgia

カジュアル

スポーツ

インディー

2021年9月3日
日本語対応
¥1,200

Highwater

アクション

アドベンチャー

2024年3月14日
日本語対応
¥2,300

The Cub

インディー

アドベンチャー

カジュアル

2024年1月19日
日本語対応
¥1,700

XCOM: Enemy Unknown

ストラテジー

2012年10月12日
日本語対応
95%¥149
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発売日2024年1月19日
ジャンル
アドベンチャー
カジュアル
インディー

カテゴリ
シングルプレイヤー
Steam実績
フルコントローラサポート
ファミリーシェアリング
ストアページリンク

The Cub

「The Jungle Book」と「the armageddon」が融合。SEGAの名作にインスパイアされながら、現代風にアレンジされたストーリーリッチでレトロな雰囲気のタフなプラットフォーマー。楽曲と物語で紡がれる、絶望と残骸しかない終末世界を爽快パルクールで駆け抜けろ。

Wishlist our upcoming tug-of-war RTS

https://store.steampowered.com/app/2310160/Operation_Polygon_Storm/


ゲームについて

"名作にインスパイアされながら、現代風にアレンジされた作品


90年代のSEGAの名作ゲーム「The Jungle Book」「Aladdin」「Lion King」にインスパイアされ、現代的なアレンジとアイデアを加えた、やりがいのあるパルクールアクション。絶望と残骸しかない終末世界を爽快パルクールで駆け抜け、進化した野生動物や危険なハイブリッド植物を出し抜こう。環境パズルをクリアして謎を解き明かそう。終末世界のサファリハントで、押し寄せてくる邪悪な人間の一歩先へ。

追われる「Cub」の物語


生態系が大破局を迎え、超富裕層は火星に逃げたが、残った者は絶滅するほかなかった。しかし、敵対的な惑星に対する免疫を獲得した、一人の人間の子供が生き延びた。数十年後、火星に避難した人々は偵察のために地球へ戻ってくる。彼らは人間の小さな子供「Cub」を見つけると、すぐに捕獲しようとする。これをきっかけに、廃墟と化した都市を舞台にして激烈なイタチごっこを含む、逃避行、探検、発見の旅が始まる。

世界は物語を語る


生態系の大破局で文明の大半が失われ、進化する大自然に浸食されていく人類の廃墟を探検しよう。人類がどのように、また、なぜ滅亡したか。その物語と手がかりは、世界中に散在する。残忍主義者がかつて占拠していた崩れ落ちた高層ビルや廃墟と化した遺伝子研究所。枯渇した化学鉱山やかつての戦場を思わせる生い茂った野原。各レベルにはそれぞれの物語がある。

ゲームプレイにぴったりの音楽


脳裏に響く至極のカスタムサウンドトラック「Radio Nostalgia From Mars」。耳なじみの良い声のラジオDJが流す、終末を思わせるチルウェイヴな音楽をバックに、火星に住む数少ない超富裕層の生存者が語る示唆に富んだ体験談に耳を傾けよう。

見た目が記憶を呼び覚ませるならば


「Samurai Jack」の生みの親であるGenndy Tartakovskyが絶賛したシリーズ「Primal」を参考にしつつ、「Atlantis」、「Tarzan」、「Road to El Dorado」など、90年代後半の名作アニメーション映画のように丁寧に描き、スタイル化した作品だ。"