異形の生命に満ちた宇宙ステーション内でループを繰り返し、秘められた真実に迫れ『Ultros』

Masa Kei

2024/02/12

※本作はパブリッシャーKepler Interactiveと協働し、Indie Freaksが日本向けマーケティングの一部をサポートしています。

Ultrosウルトロス)』は、異形の宇宙生命体に満ちた「サルコファガス」の空間をサイケデリックなアートで表現した2D探索型アクションゲーム。

いわゆる「メトロイドヴァニア」の特徴があり、手に入れた能力で侵入可能なエリアを広げながら巨大なマップを探索していく。さらに、本作には生き物を食べて栄養を摂取でき、種をまくと植物が育つという生命の営みがシステムに組み込まれている。

開発元はスウェーデンを拠点とするHadoque。『Hotline Miami』で知られるEl Huervo氏が本作のアートチームを率いて、色彩豊かな世界を創り上げた。

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ULTROS is a psychedelic metroidvania where you wake up stranded on The Sarcophagus — a cosmic uterus holding an ancient, demonic being. Trapped in the loop of a black hole, you will have to explore The Sarcophagus and meet its inhabitants to understand the part you play...

メトロイドヴァニア系のディープな世界観

本作のストアページには「メトロイドヴァニアゲーム」とはっきり書かれている。

思えば、本家の『メトロイド』は、美しくも険しい自然環境、神秘的な古代遺跡、機械設備の連なる基地が融合した惑星が舞台となっていたが、その系譜にあたる『Ultros』にも同様の趣きがある。

主人公の乗った宇宙船が墜落したのは、宇宙を漂流する巨大な子宮「サルコファガス」と呼ばれる宇宙ステーション。そこには「ウルトロス」という古代の悪魔が眠っているという。

▲石柱やステンドグラスのある遺跡が異形の植物で覆われている

巨大なムシと植物に満ちたサルコファガスの内部は、あえて日本のアニメの中から似ているものを探すなら、『風の谷のナウシカ』の「腐海の森」だろう。だが、本作は色彩感覚において強烈な個性を発揮して異星の生態系と文明を描いており、十分なインパクトと目新しさがある。

理解しがたい異形の世界を突き付けられたプレイヤーは、最初は混乱してしまいそうになるが、探索を進めていくうちにこの世界への理解を深め、自分がすべきことは何なのかを考えるようになっていく。このような思索的な要素があり、メトロイドヴァニアとしてもSFとしても深い体験が味わえる。

▲猛り狂った巨大なムシが……!

近接攻撃がメインのスピーディーな戦闘

ゲームを開始して少し進むと、男の遺体から手に入れた剣で攻撃ができるようになる。ジャンプ中の蹴り技など、スキルを習得すると攻撃アクションが増えていく。

回避のテクニックとして「スライディング」が重要で、敵の攻撃をスライディングでかわしてすぐ攻撃に転じると、カウンター攻撃を浴びせることができる。

▲カウンターをきめてスタイリッシュに戦おう

バリアでガードしているムシに対しては、攻撃ボタンを押し続けてチャージしてから、重い一撃を放ってガードを破壊しよう。この溜め攻撃は、崩れそうな壁を破壊するときにも使える。

▲敵の特性を見切り、それに応じた戦い方で倒そう!

生き物を喰らい、種をまいて育む

本作には、「生と死」「輪廻」などのテーマが含まれているという。「食事」や「栽培」といった要素により、生命の営みがゲームシステムに組み込まれていることが深い意味を持ちそうだ。

ムシを倒すと、その死骸をアイテムとしてストックしておき、好きなタイミングで食べることができる。HPが回復するだけでなく、赤、青、緑、オレンジの4つの色で表された栄養素がそれぞれにあり、必要な栄養素を貯めればスキルの習得に使える。また、スキルツリーでは、習得したスキルから伸びた枝の先に新たなスキルが追加されていく仕組み。

スキルツリーを広げていくことも、探索要素のひとつだ。例えば、壁ジャンプのようなジャンプアクション系のスキルがあると、隠された空間にもたどり着けるかもしれない。関連性のありそうなスキルを習得して、探してみよう。

▲スキル習得に必要な栄養と、食べ物の栄養を比べながら食事

ムシをたくさん倒して栄養素を摂取すれば、欲しいスキルが手に入るわけだが、どうやらムシの数は有限のようだ。決まった場所に決まった数のムシが出現するだけであって、無限に湧いて出てくるわけではない。

しかも、ムシを倒すときに死骸をボロボロにしてしまうと貴重な栄養が損なわれてしまう。形を保ったままムシを倒すコツがあるようだ。

▲栄養が損なわれた、ボロボロの死骸

一方、適した土地に種をまき、生えてきた木から果実をもいで食べることもできる。とにかく栄養素が貴重なゲームなので、種は大事に取っておくのではなく、積極的にまいておこう。

では、栄養をムダにしてばかりだと、重要なスキルを習得できなくなり進めなくなってしまうことがあるのかというと、そうではない。本作は、ローグライトの要素も一部取り入れられていて、あるタイミングでスキルツリーがリセットされ、ムシも元の場所に再配置される。

また、すべて最初からやり直しというわけではなく、いくつかのスキルは記憶してキープしておけるし、必要な栄養素の量が軽減され、習得しやすくなっていく。

つまり、限りある栄養をどこで獲得して、どのスキルを習得するかを考えるゲームになっているのだ。

▲種をまくとすぐ植物が育つ。収穫して栄養を取ろう

ときに不可解なテキストとどう向き合うか

本作は、主人公が遭難してサルコファガスに流れ着いて未知の文明に触れているという状況のようで、不可解なことに直面してばかりだ。特に植物の名前は、現地の文明で使われていた(架空の)言語そのままにしてあるのではないかと思う。

面食らってしまったのは、最初に手に入れる種「オグ・ムーミン」のフレーバーテキスト。そこには、「我はオグ・ムーミンなり」と書かれていた。種が名乗ったのだろうか? どういうことなのかさっぱり分からず、未知の世界に放り込まれた気がした。

▲英語テキストに切り替えると"I am Ogu Mumin."

おそらく本作は、翻訳される前の原文からしてやや難解なのだろう。ネイティブレベルで原文を読めるプレイヤーから見ても、未知の世界に遭遇したように感じられる部分があるのかもしれない。

サルコファガス独自の文化や神秘的な設定も盛り込まれている。例えば「抽出機」というアイテムは、入手時に二段ジャンプが可能になるのだが、この世界での本来の用途は何なのか、何を抽出する機械なのかということが謎に包まれている。

▲異世界感あふれるネーミング「テネプラ・カリガラム(抽出機)」

だが、難解なテキストの持ち味を残したまま、もっとキャラクターの会話の意味がしっかり伝わって、ドラマの部分がより心に響くようになっているべきだと思うところもある。実際に、ニュアンスがずれていそうな台詞を少し見かけたので、「たぶんこういう意味で言っているんだろう」と、状況から想像していく場面に遭遇することもあった。

「輪廻」がどう関わってくるのか

本作のストアページやトレイラーには「ループ」や「輪廻」といったキーワードが出てくる。それらがどのようにゲームプレイやストーリーに関わってくるかは、ネタバレにもつながるので、本記事には書かないでおこうと思う。

輪廻という言葉から感じたのは、東洋発祥の死生観と宗教観が、北欧のゲームクリエイターを通じてメトロイドヴァニアのゲームに反映されて、東洋の文化圏に住む日本のゲームファンに届くという面白さである。

広大なマップを何度も行き来するメトロイドヴァニアの特徴を「輪廻」と絡めて、こんなゲームを作れるなんて……! という驚きが本作にはある。多くのメトロイドヴァニア・ファンに、ぜひこのゲームの核心に迫ってほしい。

▲大きな木に育てると美しい姿に

基本情報 Ultros
開発 Hadoque
販売 Kepler Interactive
配信日 2024年2月13日 / 日本語有り
定価 3,520円(Steam
3,520円(Epic Games Store
3,520円(PS Store

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2012年10月24日
¥1,200

Ultros

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アドベンチャー

2024年2月13日
日本語対応
30%¥2,464
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発売日2012年10月24日
ジャンル
アクション
インディー

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