シリーズの集大成となる2D探索型アクションの真髄を味わおう『Momodora: 月影のエンドロール』先行プレイレポ

朝比奈 / Asahina

2024/01/10

2024/01/17

本稿は事前にレビューキーをご提供いただき、執筆しています。

Momodora: 月影のエンドロール』は、シリーズ最新作にして集大成となる2D探索型アクション・アドベンチャーゲームだ。クリエイターのrdein氏を中心とする、ブラジルのインディーゲーム開発スタジオ"Bombservice"が手掛ける。

本作は、2014年7月2日にリリースされた『Momodora III』から5年後の世界が舞台。悪魔を呼ぶ"黒き鐘"が何者かによって鳴らされたことで、この地に根付く神聖な"ルンの大樹"を守るコホ村の周辺に悪魔が集おうとしていた。

『Momodora III』でも主人公を務めた、村の司祭長モモは鐘を鳴らした者を突き止め、呼び出されてしまった悪魔を討伐するという使命を負って旅に出る――というのが本作のストーリーだ。

Momodora: Moonlit Farewell on Steam
"Momodora: Moonlit Farewell" is the latest installment in the Momodora series. Join Momo, High Priestess of the village of Koho, as she embarks on a divine mission to save her people from imminent destruction at the hands of the demon hordes summoned by a malevolent bellringer.

完成された2Dアクション

本作のゲームシステムは、広大なマップを舞台に特殊なアイテムや能力を入手しながら探索範囲を広げていく、いわゆるメトロイドヴァニア作品だ。要所々々でのNPCとの会話イベントや、ボス級の敵を倒すことでストーリーが進行するが、探索ルートはプレイヤーに任されている。

プレイヤーが操作するモモの基本アクションは、聖なるカエデの葉を武器とする近接攻撃と、弓矢を使った遠隔攻撃。それとジャンプとローリング(回避)、魔力を消費しての回復というオーソドックスでシンプルなものだ。

▲この広大なマップ探索がメトロイドヴァニアの醍醐味と言える。

レベルの概念はなく、探索中に特殊な果実や花を入手することでステータスを永続的に強化したり、特定の性能を強化・付与する「紋章」を装備したり、使い魔を召喚することでさまざまなサポートを得られたりといったことが可能。

このジャンルを好むプレイヤーにとっては、馴染みのある手触りだろう。

▲紋章を装備することでさまざまな効果を得られる。

失われた要素の良し悪し

他方、前作『月下のレクイエム』を体験したプレイヤーにとって、おそらくもっとも気になるのはそのシビアな難易度だ。これは単純なゲームとしての難しさ以上に特別な意味を持つ。

と言うのも前作では、今作の「紋章」に相当する一部の装備品の入手手段が「ダメージを一切受けずにボスに勝利する」こと。非常に強力な効果を持ったものが含まれていただけに、一部のやり込み派に限らず多くのプレイヤーがそれに挑んだのだ。

ハイリスク・ハイリターンを象徴するような要素であり、今作にも期待と恐れを持っていたのだが……どうやらその仕様はなくなってしまったようだ。(実際に筆者はボスを何体かノーダメージで倒してみたが、アイテムは得られなかった。)

もちろん、ボスの攻撃が苛烈であることに変わりはないのだが、これはノーダメージを目指す理由がなくなったことで相対的に難易度が下がったことになる。ある種の強迫観念がなくなり、難易度調整(ライト・ノーマル)も用意されているので、結果的に多くのプレイヤーに向けて間口が広げられた形だ。

▲ノーダメージを目指す必要がなくなったからといって敵が弱くなるわけでもない。

その尖ったところもMomodoraの魅力と感じていただけに、少し残念な気持ちもあるが、プレイヤー数が増えることは開発元にとって歓迎すべきことであり、我々にとってもいつか1~3作目の日本語サポートへの道が開けるかもしれない。そう考えればこの変化も歓迎したいところだ。

Momodoraシリーズのすすめ

Momodoraシリーズは本作を含めて5作品がリリースされている。

このシリーズはモモイサドラの2人を主要キャラクターとした、"ルンの大樹"を守る村とその周辺地域を中心に描かれた物語で、時系列としては1~2作目が本作の7年前、3作目が5年前。4作目は彼女たちの時代から500年前の出来事(モモの先祖カホが主人公)を描いている。

もともと、洞窟物語ロックマンの影響を受けて制作されたという1作目はその影響が強かったが、2作目以降は現行のメトロイドヴァニアのスタイルが確立され、シリーズを追うごとにアクション面も洗練されていった。

▲Momodora: 月下のレクイエム | PLAYISM - YouTube

2016年3月4日にリリースされた4作目の『月下のレクイエム』から、PLAYISMのパブリッシングにより日本語がサポートされていて、そこで初めてMomodoraシリーズに触れたという方も大勢いらっしゃるのではないだろうか。

今作の作中冒頭で手に入るメモから「村に伝わる歴史の記録」という形で過去作のあらましを読むことができるので、今作からのプレイでも支障はないが、今回を機に過去作もぜひ触れてみてほしい。

2019年8月27日に『ミノリア』という作品がリリースされているが、これはMomodoraシリーズではなく同スタジオの新規IPで、Spiritual Successor(精神的続編/精神的後継作品)という位置付け。アートワークも趣きが異なる。


基本情報 Momodora: 月影のエンドロール
開発 Bombservice
販売 PLAYISM
配信日 2024年1月11日 / 日本語有り
定価 1,680円(Steam

この記事で紹介されているゲーム

Momodora: Reverie Under The Moonlight

インディー

アドベンチャー

アクション

2016年3月4日
日本語対応
¥980

ミノリア

インディー

RPG

アドベンチャー

アクション

2019年8月27日
日本語対応
¥2,300

Momodora: 月影のエンドロール

アクション

アドベンチャー

インディー

2024年1月11日
日本語対応
¥1,680

Momodora III

アクション

インディー

2014年7月2日
¥198
Loading...
発売日2016年3月4日
ジャンル
アドベンチャー
アクション
インディー

カテゴリ
シングルプレイヤー
Steam実績
フルコントローラサポート
Steamクラウド
ファミリーシェアリング
Steamトレーディングカード
テレビでRemote Play
ストアページリンク

Momodora: Reverie Under The Moonlight

Momodoraは女司祭カホが自分の村を呪いから救うために、死者の国のチカラ溢れる土地を探索する、美しいドットアニメーションと音楽、そしてハードコアなアクション要素全て含めた2D探索アクションゲームです。

Momodoraシリーズ最新作

https://store.steampowered.com/app/1747760/Momodora_Moonlit_Farewell/


ゲームについて



Momodora(モモドラ)は2D探索型アクションゲームです。モモドラシリーズはこれが4作目となりますが、今作はアクション要素に重点を置かれ、コンボや、緊急回避、様々なアイテムや呪文などが追加されています。

恐ろしい呪いが地を覆い、世界を死者の国へと変貌させようとしていた。
呪いの魔の手が伸びようとしている小さな村を救うため、この異変の原因と根絶、そして全ての答を求めて女司祭カホは呪われた地へと旅立つのだった。


  • 美しいドットアニメーション
  • ハードコアなアクション - コンボ、緊急回避、遠距離からの狙撃
  • 刹那の判断を試されるボス戦
  • イージーからハードの選べる難易度設定により、ストーリーを楽しみたい方から白熱したバトルを楽しみたい方までオススメ
  • 数多くのアイテムを組み合わせることで編み出せる多種多様な攻略法
  • 広大な世界を探索し、隠されたアイテムや財宝を探そう
  • ユニークでカワイイ敵味方キャラクター
  • 切れ切れに見つかる伝承、会話やアイテムから垣間見える壮大な世界観


モモドラシリーズの4作目となる本作では、時間軸としてはこれまでのシリーズの前のお話となります。
開発中に目標としていたのは、ゲームプレイとアートワークをより進化させることでした。努力の甲斐あって、モモドラ3に比べるとバトル要素はかなり改良されたと思います。また、キャラクタースプライトをより大きく表示し、アニメーションもふんだんに使用しています。

また、ゲーム中の色々なところに細かい設定や表現を散りばめるという試行錯誤をし、伝承などの世界観の設定を練り込み、ボスバトルは更に白熱できるものにしました。
このモモドラはシリーズの中で最高のものだと言えます。是非楽しんでください。


Momodora:月下のレクイエムが好きすぎるので、レビューを書かせてもらうことになりましたPLAYISM シニアコンテンツマネージャのダンです、よろしく。

ファミコン黎明期からずっとゲームをしてきたけど、2Dアクションゲームはお気に入りのジャンルのひとつだった。メトロイドヴァニアという言葉が出来る前から 悪魔城ドラキュラやメトロイド、コントラにニンジャガイデンとかを遊んでたんだけど、プレステ中期頃にドット絵のゲームが一気に数が減ってしまって、以前 のように名作2Dアクションを見られなくなったのがホントに残念だった。
でも、インディーゲーム開発者たちがこのジャンルにまた命を吹き込んでくれた。しかもスプライトアニメーションの技術はまだまだ進化してる。

rdeinが作るのは自分が好きだったきっつい2Dアクションゲームに、最近のダークソウルみたいなゲームの素晴らしさを合わせこんだゲームばかりなんだ。
ドットアニメーションがひたすらキレイで、ボス戦の緊張感は半端ないし、主人公の女の子となって手探りで遺跡や廃墟を探索していく楽しさがあり、背景やオブジェクトが細かいところまで丁寧で… 全てがシビレルようなプレイ体験を味わわせてくれる。
ストーリーもまた素晴らしい。人外の生き物がはびこるファンタジー世界で助けを求める哀れな魂との出会いと別れがあり、アイテムひとつや会話ひとことにもゲームの世界観を感じることが出来る。この世界の住人への思いがプレイしながら変化していく。
自分が助けようとしている相手は、本当に助けられたいと願っているのか…?それとも、彼らの会話の端々に感じられる皮肉めいた感情に注意して行動するべきなのか…?思わずプレイしながら色々と考えてしまう。

このMomodoraはメトロイドでも悪魔城ドラキュラでもダークソウルでもないけど、これらゲームに感じた良い所が全て詰まっている気がする。
2D探索型アクションゲームなんて星の数ほどあるけど、その中でも珠玉の一本だと自信を持ってオススメするよ。