2023年11月12日、秋葉原UDXにて同人・インディーゲームの頒布／販売イベント「デジゲー博2023（以下、デジゲー博）」が開催された。今年はイベント当日に突然の冷え込みに見舞われ、生憎の雨模様ともなってしまったが、来場者が途切れることもなく会場内はなかなかの盛況ぶりだった。
今回の参加サークル数は約200。本記事では、そんな数ある出展タイトルの中から筆者が注目する魅力的な作品をピックアップしてご紹介しよう。
当記事内の掲載写真は、許可を得て撮影を行っています。
ノナプルナイン
『NONUPLE NINE: ASYMPTOTE（ノナプルナイン：アシンプトート）』は、ストーリー重視のSFサスペンス要素を持った横スクロール型の探索・科学アドベンチャーだ。
同じ32階をループする謎のビルで目覚めた、記憶のない被検体の少女「ノナプル・ナイン」を操作して探索を行っていく本作。どこか懐かしさを感じるアニメ風のグラフィックが特徴的だが、それもそのはず。開発期間は既に10年を超えており、完成を心待ちにされている方も大勢いらっしゃるはずだ。
総プレイ時間は30時間以上を想定。雑誌・カメラ・PCなど探索中に調べられるモノ1つとっても作りこみが半端ではなく、あふれるような情報量に飲まれそうになる。20分間という試遊ではまるで全貌が見えず、バラバラのピースが最終的に収束するということだが、その完成図は想像すらできない。
今回スペースで伺ったところ、完成までまだあと2年ほどかかりそうとのことなので、心待ちに――と言うよりも見守っていきたいところだ。
南極計画
『南極計画』は、900年後の南極大陸を舞台に南極点を目指すアドベンチャーゲームだ。
本作では、特殊なスノースーツに身を包んだ1人の子供が南極大陸を横断する孤独な旅が描かれている。孤独を和らげてくれる動物たちとの触れ合い。道行きを阻む異常気象。資源を回収し、無事に旅を進めるための道具を作り出す創意工夫。美しくも恐ろしい、この白銀の世界での旅路がさまざまな要素によって形作られている。
誰もが知る土地ながら、南極を舞台とするゲームは意外なほど少ない。開発を手掛ける"RexLabo"に伺ったところ、そこにはオカルティックな魅力もあるからだという。
本作は6～8時間程度のボリュームになるとのことだが、プレイヤーの選択によってさまざまに変化するマルチシナリオ方式が採用されている。そうなるとその変化も体験したいと思うところだが、クリアすることでボーナス的な要素が引き継がれ、周回時にはより速いサイクルで旅を進められるようになるとのこと。
リリース時期が気になるところだが、既に開発は9割まで進んでいるとのことで、もう間近と考えてよさそうだ。
Dear Flower
『Dear Flower』は、モノクロで表現されたポイントアンドクリック型のパズルアドベンチャーゲームだ。
基本となるゲームシステムは、横スクロールのステージ内の謎を解いて次のステージへと進む方式。3人のプレイアブルキャラクター（少年・少女・ロボ）それぞれの視点で展開していき、それ自体も物語に意味を与えるのだという。ゲーム内にテキストや会話は登場しないので、視覚情報のみでストーリーを想像し、パズルの謎も解いていかなければならない。
今回の試遊は少年を操作して3ステージまでの体験となっていたが、約半年ほどの開発期間ですでに5割ほど進捗が進んでいるのだという。
モノクロな世界観が特徴的な本作。開発を手掛けるポッピコーン氏によれば、もともとカラフルな表現をあまり得意としていなかったのだが、いっそそうした要素を排除することで、シンプルな色がマッチする世界観を作れたとのこと。
ボリュームは2時間弱になるとのことで比較的コンパクトなゲームだが、トレーラーからも垣間見える謎の生き物や機械が登場するこの世界がどういうストーリーを辿り、どういう謎を秘めているのか興味を惹かれるタイトルだ。
現在のところ、2024年夏頃のリリースを目標としているとのこと。
