2023年10月16日、『Slay the Spire: The Board Game』日本語版のローカライズを担当する株式会社ケンビルは、本作の全世界的な制作の遅れに伴い、クラウドファンディング支援者への配送時期が遅延することを発表した。
クラウドファンディングの成功
『Slay the Spire: The Board Game』は、2023年1月にクラウドファンディングサイト「Kibidango」にて開催された日本語版の制作資金調達を目的とするプロジェクトを成功させ、制作が開始されたボードゲームだ。
2023年1月10日から1月30日にかけて開催されたキャンペーンでは、開始からわずか10分で目標金額の500万円を達成。最終的に、6,117万3,505円という多数の支持を集めてプロジェクトを終了している。
海外版はそれ以前に別のクラウドファンディングにて、約5億3,000万円を集めてプロジェクトを成功させているので、これは日本語版だけでの数字だ。
世界的な人気を誇る、デッキ構築型ローグライクカードゲーム『Slay the Spire』を原作とするボードゲームということで、普段はボードゲームをプレイされない方からも注目を集めた結果ではないだろうか。
発送を2024年4月以降に延期
今回、クラウドファンディングサイト「Kibidango」にて発表された内容によれば、海外パブリッシャーより報告があり、日本語を含めた全言語版の制作に遅れが生じており、支援者に向けた発送時期が「早くとも2024年4月以降（詳細な時期は後日あらためて案内）」に延期されるとのことだ。
一部コンテンツの設計・製造が想定以上に時間を要していることと、一部の言語版のファイル提出に遅れが生じたことが理由として挙げられているが、当初の予定から約3ヶ月（場合によってはそれ以上）の遅延となるようだ。
ケンビル社からは、2023年7月27日に「日本語版のファイル納品が完了」したことが支援者に向けての活動報告で語られていた。日本語版の納品はスケジュール遵守で行われたとのことで、他言語で遅れが見られた点については同社からは悔しさがにじむコメントも見られた。
なお、日本語版では、弊社所属のLayerQ。デジタルボードゲーム『Gremlins, Inc.』のゲームデザインに関わられたTAICHI NAIKI氏。Steam版『Slay the Spire』翻訳者のGrezzz氏の3名がアドバイザーとして監修を担当。翻訳と校正はForGamesが担当している。
日本語版の完成度に期待が高まっていたところでの今回の遅延は残念な出来事だが、併せて公開された開発中のアイテムのクオリティは素晴らしいものだ。引き続き、期待を持って続報を待ちたい。
余談だが、クラウドファンディングサイトで提示される支援者への提供時期に、遅れが生じるという事態はままあることだ。これは、制作の遅れやブラッシュアップのためなど、さまざまな理由からなる。
例えば、2022年3月にクラウドファンディングサイト「Kickstarter」にてプロジェクトが開催された『Dead by Daylight』のボードゲーム版『Dead by Daylight: The Board Game』では、当初の配送時期は2022年10月だったものの、支援した筆者の手元に届いたのは2023年5月末であった。
プロジェクトを支援する際には、そういう可能性もあることを知っておこう。
