事件にまつわる情報量の海に溺れる、本格派の推理調査ゲーム『Scene Investigators』

朝比奈 / Asahina

2023/10/29

Scene Investigators』は、インベスティゲーター(犯罪捜査官)の訓練生として、再現された事件現場の真相に迫ろうとする推理調査ゲームだ。アメリカのネバダ州ラスベガスを拠点とする、インディーゲーム開発スタジオ"EQ Studios"が開発を手掛けている。

同スタジオは以前に、ペインスクリークという田舎町で起きた未解決殺人事件を捜査する『The Painscreek Killings』をリリースしている。同作では、ほとんど一切のヒントが示されないままに、事件解決の糸口となる証拠の発見と推理をもって挑む本格推理アドベンチャーとなっていた。

同じ趣きを感じる新作タイトルとして2019年に発表された本作は、数度のリリース延期の報でファンをヤキモキさせていたものの、この度ついに2023年10月24日にリリースされた形だ。

正直なところ何を書いてもネタバレとなる恐れがあるため、本記事ではその点には十分に配慮した形でプレイレポートをお届けしよう。

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Scene Investigators is a deductive reasoning game for fans of the "true crime" genre. Step into re-created crime scenes, observe closely for pieces of evidence, analyze possible motives behind the crimes, and uncover what truly happened.

チュートリアルから試される観察と推理力

本作では、プレイヤーはインベスティゲーター(犯罪捜査官)の訓練生として架空の事件の捜査に挑む。実際の事件と同様に、現場に存在するあらゆるものを観察/捜索し、事件解決の糸口となる情報や痕跡を発見して、自らの推理によって答えを導き出さなければならない。

ただし、これはあくまで訓練生としてのテストだ。現場からは"特定の要素が意図的に排除あるいは省略されている"。これは、ゲーム側のミスやバグではなく、欠落した要素があっても捜査官であるプレイヤーが事件を解決できるかどうかを試すものなのだという。

ヒントも何も示されることはないが、「テスト問題」として「この答えを推理してください」という目的は用意されている。プレイヤーは推理によってそれを導き出せばクリアとなるわけだ。

余談だが、ゲーム内ツールとして「懐中電灯」、「カメラ」、「フォトアルバム」、「メモ帳」が用意されている。おかげでゲーム外でスクリーンショットを撮ったり、メモアプリを立ち上げる必要がないわけだ。情報量が膨大なゲームとなっているので有効活用するといいだろう。

まず最初に挑むチュートリアルでは、ある銀行強盗事件に関わる資料が置かれ、ホワイトボードには地図上で起きた出来事が何枚かの付箋で示されている。容疑者は、1人の女性の財布ひったくり事件にも関わっているようだ。

そこにあるのは情報の羅列であって、問題の回答が直接書かれているわけではない。はっきりと誰がどういった役割を担っていたか表示されているわけでもなく、複数の資料を見比べ、登場人物の相関関係を推測しなければならない。

▲インタラクトすることでさらに情報が細かく表示される。溺れそうだ。

3人の容疑者の中で誰がどの役割に収まるのか。そもそも、なぜ彼女の財布を狙う必要があったのかと思考がゆれそうになるが、問われていることはそこではないのだと思い直す。とは言え、全体像を掴まなければ答えに辿り着けそうにないのはさすがの作り込みだ。

先に触れたように、意図的に情報が伏せられている部分があるので、確信に至らないまでも「自分の中で腑に落ちる」結論を導き出せたならば――思い切ってテスト問題に回答しよう。

その結論は何であったにせよ、チュートリアルを突破したプレイヤーはいよいよ試験の本番に挑むことになる。

ついに本気を出してくるテスト本番

本番では複数のシナリオを内包する3つの事件ファイルと、まだ選択できない伏せられた事件ファイルが1つ用意されている。挑む順番は自由だが、すべて解決しなければ合格とはならない。

もしかしたら、チュートリアルを経て少し自信を持ったプレイヤーもいるかもしれないが、ここからが本番だ。ホワイトボードと机が1つだけだった空間は、複数の部屋で構成された丸ごと家一軒へと拡大される。

そこに散りばめられた資料は非常に多く、そして肝心のテスト問題は……たった2問で良かったチュートリアルとは比較にならない選択肢の多さだ。

観察するもの、調べるもの、重要なものとそうでないもの。何らかのアクションを取れたからと言って、それが必ずしも重要だとは限らないもの。逆に言えば、何でもないように見える些細なものが、やがて線と線で結びつくかもしれない。

ここで、まるで濁流のような情報量の多さに途方に暮れるか、逆にやる気をみなぎらせるかはプレイヤー次第だが、十分な時間を確保して観察と推理に挑んでみてほしい。1人で解いてもいいし、友人や家族と共に考えてみても面白いだろう。

あなたはテストを卒業して、一人前のインベスティゲーターになれるだろうか。今年中に卒業できるかあやしいが……筆者も頑張ってみようかと思う。


基本情報 Scene Investigators
開発 EQ Studios
販売 EQ Studios
配信日 2023年10月24日
定価 2,800円(Steam

この記事で紹介されているゲーム

The Painscreek Killings

インディー

アドベンチャー

2017年9月27日
日本語対応
¥1,980

Scene Investigators

アドベンチャー

インディー

2023年10月24日
日本語対応
¥2,800
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発売日2023年10月24日
ジャンル
アドベンチャー
インディー

カテゴリ
シングルプレイヤー
Steam実績
Steamクラウド
ファミリーシェアリング
部分的コントローラサポート
ストアページリンク

Scene Investigators

トゥルークライムジャンルファンのためのハードコア演繹推論ゲーム。本格的は事件調査ゲームです。プレイヤー自らが事件の背後にあるだろう動機を現場に残された物から推し量っていき、いったい何が起こったかを明らかにしていきます。

これは少し先の未来のお話。あなたは認定調査官を目指す研修生として物語を進めていきます。あなたの目標は、不可解に限りなく近い難易度で再構築された一連の事件ファイルを解決し、試験に合格すること。そのために使える道具は、鋭い知覚と思考、そして研ぎ澄まされた精神力、たったそれだけです。果たして、あなたはすべてを解き明かすことができますか?

Scene Investigatorsは、鋭い観察眼を頼りに欠けているパズルピースを埋め、一見そこにないように見える動機を探しながら、もっともらしい仮説をいくつも立てて調査を進めていくハードコア演繹的推理ゲームです。

このゲームは探偵映画やハードコアな犯罪もの、脱出ルーム系謎解きゲームのファン、そして特に難解な事件の解決に挑戦するのが大好きな方向けに作られています。

「トゥルークライム」探偵体験


丹念に現場を観察し、全ての物証を分析する。際立ったものがある場合はメモを取ることをおススメする。事故現場で調査をするという体験がより印象的になることだろう。

本学的な殺人ミステリーパズル


何が起こったのかを理解するだけでなく、加害者とその犠牲者との関係も理解するために、すべてをつなぎ合わせます。 あなたの唯一のツールはあなたの鋭い知覚、メンタルの鋭さ、そして実生活の知恵です。

計算された仮定 - 70/30の法則


事件に関連するすべての確定的な証拠が常に存在するわけではない。 事件を理解する証拠の70%は現場に残されているかもしれないが、残りの30%は見つからないかもしれない。 そんな時、自分の直感を信頼し、考えうる条件や物事を仮に決めること、つまりプレイヤー自らが仮定をたてることで足りないギャップを埋める必要性に迫られることがある。

現場が事件のストーリーを語る


あなたは気づきましたか?ワイングラスについたピンクの口紅。壁の弾丸の跡。窓辺のかすかなサイズ 28.5 cmのブーツマーク。これらは、事件のストーリー断片をつなぎ合わせるために役立つ現場に残された手掛かりの一部です。

友達と、パートナーと、事件解決する醍醐味


シーンインベスティゲーターズは、友人、大切な人、さらには家族全員など、調査結果について話し合う人がいると、解決するのがもっと楽しくなります。それぞれがあなたが見逃した何かを見つけてくれるかも。

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A Note for TPK Fans...
In terms of gameplay, Scene Investigators is quite a departure from our first game, The Painscreek Killings. TPK focuses heavily on the story and uses a rather simple 'breadcrumb' system for its gameplay, one that allows players to continue their investigation whenever they pick up a clue. SCNI, on the other hand, leans heavily on keen observation, filling in the missing gaps, looking for motives when they aren't there, and coming up with a number of possible assumptions in order to solve the case.