【TGS2023】1セッション1時間で楽しめるループ型ロールプレイング・アドベンチャー『Baladins』「架け橋ゲームズ」ブースレポート

朝比奈 / Asahina

2023/09/22

2024/05/26

2023年9月21日~9月24日に千葉県の幕張メッセにて開催されている「東京ゲームショウ 2023(以下、TGS2023)」に出展された、国内外のインディーゲームのパブリッシング、および、パブリッシングサポートを担う「架け橋ゲームズ」のブースレポートをお届けしよう。

TGS2023では、同社が販売/サポートする14タイトルが出展された。
※リンク先はいずれもSteamストアページ

同社がサポートする『Sea of Stars』は、コナミデジタルエンタテインメントブースでの出展。『スナフキン:ムーミン谷のメロディ』、『Vikings on Trampolines』、『Savant - Ascent REMIX』は、Norwegian Gamesブースでの出展となる。

2023年7月に開催された「BitSummit Let’s Go!!」にて発表された、同社として初のパブリッシングタイトルとなる『Sagres』と『SONOKUNI』も含めて、いずれも注目されている方は多いことだろう。

どれも魅力的なタイトルばかりで目移りしてしまうが、今回、筆者が注目する出展タイトルは『Baladins』だ。

Baladins

Baladins』は、フランスを拠点とするインディーゲーム開発スタジオ"Seed by Seed"が手掛ける、1セッション1時間ほどで手軽に遊べる1~4人用ロールプレイング・アドベンチャーゲームだ。

本作は、2022年5月にクラウドファンディングサイト「Kickstarter」にて開発資金調達を目的とするプロジェクトを開始。そこから、約1ヶ月間にわたるキャンペーンにて当初目標としていた€18,000を大幅に上回る€52,872(現在の為替レートで約830万円)を獲得し、2024年のリリースに向けて開発中のタイトルだ。

▲これはSteamの体験版のマップだが、もちろん試遊台では日本語化されている。

実は、筆者も支援者(バッカー)なのだが、しばらく開発チームからの進捗報告が無く、正直に言えば少し心配していたところであった。

だが、この度TGS2023にて、架け橋ゲームズのサポートタイトルであることが初公開された。もちろん"日本語サポート対応"となり、クラウドファンディング開催時にはその情報はアナウンスがなかったため、非常に嬉しいサプライズというわけだ。

そして今回、いち早く日本語が実装された体験版を試遊することができた。

プレイヤーは、本作のタイトルにもなっている「バラディン」と呼ばれる旅芸人の一座として、ドラゴンを楽しませるという大仕事に巻き込まれる。しかし、ドラゴンはなかなか満足してくれない。失敗する度に、何度でも過去へと送り返されてしまうのだ。

果たして、タイムループを繰り返しながら、彼らはこの大仕事を達成することができるのだろうか……!というのが本作の中心となるストーリーだ。

▲1人でも、最大4人でも楽しめる。こちらのシーンも試遊台では日本語化されているのでご安心を。

テーブルトークRPG(TRPG)や、ボードゲームにインスパイアされたという本作。プレイヤーは個性的なスキルを持った4人のペーパークラフト風のキャラクターから1人を選んで、冒険に出ることになる。最大4人までのオンライン協力プレイに対応しており、1人でも、友達や家族と一緒にも楽しめる。

基本的なゲームシステムとしては、ボクセルアートで描かれたボードゲーム的なマップにあるマスを進んでいき、そこで発生するイベントに挑む。街の住人と会話をしたり、酒場で食事をしたり、崩れたトンネルの岩をどけたりとさまざまなイベントが待っているが、スキルによって選択肢や結果は変化していく。もちろん、プレイヤー自身の好みや考え方も重要になるだろう。

つまり、それぞれのイベントが小さなストーリーを持っていて、そのすべての決断が世界に影響を与える可能性があるのだ。

イベントにて何らかのアクションを起こすとAPを消費し、マスを移動するとMPが消費されるのだが、それを使い果たすとターンエンド(任意でも可能)。1ターンが1週間となっていて、7週間が経過するとドラゴンが登場し、ひとつの結末を迎えることになる。そして、引き起こされたタイムループにより、また新たな物語を紡いでいくわけだ。

じっくりとイベントを楽しんでも、1セッションは1時間程度。パーティプレイ向きな印象はあるものの、1人でも十分にロールプレイングを楽しむことができた。

会場に足を運ばれる方は、この可愛らしいキャラクターが活躍するセッションをぜひ体験していただきたい。なお、現在Steamでも体験版をプレイすることが可能だが、そちらには日本語が実装されていないのでご注意を。

翻訳者インタビュー

本作の日本語翻訳を手掛けるのは、英日ゲーム翻訳者のChisato氏だ。架け橋ゲームズとは別のブースにいらっしゃったが、今作の翻訳について興味深いお話を伺えたのでご紹介しよう。

【質問】本作を手掛けることになったきっかけは?

架け橋ゲームズから翻訳のお話を頂いたときに、実はゲームの中身を把握するよりも先に、このキュートなキャラクターに惹かれて手を上げたというのがきっかけです。

キツネのプレイアブルキャラクターがいるのですが、彼はナルト走り(漫画『NARUTO -ナルト-』のキャラクターが見せる独特の走り方)をするんですよ。可愛いですよね!

【質問】こだわりのポイントなどはありますか?

イベントが発生した際、質問に対する答えの選択肢の個数が異なり、その個数によって一行あたりの表示文字数も異なります。LQA(言語に関する品質保証)を実施した際に、どの選択肢もきっちりと意味上の区切りとなる箇所で改行されるよう、見栄えの良さにもこだわりました。

町(ロケーションポイント)でのアクション、修練、チャレンジも同様に改行位置にこだわっています。

なお、テキストが複数行となった場合に、選択肢上部に表示されるアイコンがズレてしまうという問題があるのですが、開発チームとしても問題は認識していて、改善したいとのことでした。

筆者注:普段ゲームをプレイしていて、「このテキストの改行位置なんだか読みにくいな」と感じた経験がある方も少なくないだろう。こうした違和感を極力なくそうという気配りというのは、一見地味に思えるかもしれないが、ゲームのプレイ体験を確実に向上させてくれるのでとてもありがたい。

【質問】翻訳にあたり注意された点はありますか?

この作品は「テーブルトークRPG(TRPG)」にインスパイアされていますが、TRPGの文章は現在進行系であることが一般的です。

本作においてもその点は意識していて、これから何かが起きそうだと期待できるように現在進行系を基本としています。ただし、結果が出ているもの(例:金貨が増えた)については過去形となります。

【質問】特に印象深かったことはありますか?

開発チームが非常に協力的ということですね。

例えば、原文の英語では、何かが上向く際には共通して「プラス(Plus)」という表現が出てきます。しかし、金貨ならば「増える」、ステータスは「上がる」と表現を分けた方が日本語としては自然というフィードバックを上げたのですが、それを汲んでゲーム内に(いつの間にか)実装してくれました。

また、作中にルディンという種族の「バンガス」というキャラクターが登場するのですが、妖精で性別がニュートラルとなっています。日本語での一人称を考える際に、漫画『メイドインアビス』のナナチという、性別が明言されていないキャラクターが使っている「おいら」ではどうかと提案したところ、すんなり通りました。

翻訳者にとって、とてもやりやすい環境を提供してくれる素敵な開発チームです。

【質問】本作をプレイされる方に向けてぜひメッセージを!

もともと、グループSNEなどのリプレイ(実際にTRPGなどをプレイした記録を小説風に書き下ろしたもの)が好きなのですが、実際にTRPGをプレイするには1人でというわけにはいきません。しかし、ゲームであれば1人からでもプレイすることができます。

そして、家族や友人はもちろん、ゲーム実況をされている方などが集まって、4人でプレイするとさらに楽しいものになるはずです。『Baladins』が、TRPGに触れてもらうきっかけとなってくれればと思います。

Baladins on Steam
Embark on a whimsical journey and bring joy to a bright fantasy world in this roleplaying adventure for 1-4 players, featuring approachable hour-long sessions!
基本情報 Baladins
開発 Seed by Seed
販売 Armor Games Studios
配信日 2024年予定 / 日本語有り
定価 未定(Steam
基本情報 架け橋ゲームズ
公式サイト kakehashigames.com
公式X(旧Twitter) @kakehashigames

この記事で紹介されているゲーム

Dicefolk

インディー

カジュアル

ストラテジー

2024年2月27日
日本語対応
¥1,700

スナフキン:ムーミン谷のメロディ

アドベンチャー

RPG

インディー

2024年3月8日
日本語対応
¥2,300

Moving Out 2

シミュレーション

インディー

アクション

カジュアル

2023年8月16日
日本語対応
¥3,499

Vikings On Trampolines

カジュアル

アクション

Coming soon
日本語対応

ブラスフェマス 2

アクション

アドベンチャー

インディー

2023年8月25日
日本語対応
¥3,499

ウォーグルーヴ 2

ストラテジー

2023年10月5日
日本語対応
20%¥1,840

Baladins

アドベンチャー

インディー

RPG

2024年5月15日
日本語対応
¥2,800

Kamaeru: カエルの楽園

カジュアル

シミュレーション

2024年6月9日
日本語対応

Headbangers: Rhythm Royale

カジュアル

2023年11月1日
日本語対応
¥2,300

サグレス(Sagres)

シミュレーション

アドベンチャー

RPG

インディー

2023年9月19日
日本語対応
25%¥1,725

SONOKUNI

アクション

2024
日本語対応

Savant - Ascent REMIX

インディー

アクション

2023年9月30日
日本語対応
¥1,200

Sea of Stars

RPG

アドベンチャー

インディー

2023年8月29日
日本語対応
¥4,000

Gunbrella

アクション

アドベンチャー

2023年9月13日
日本語対応
¥1,700
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発売日2023年9月13日
ジャンル
アドベンチャー
アクション

カテゴリ
シングルプレイヤー
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ストアページリンク

Gunbrella

この重厚なノワールパンク・アクションアドベンチャーゲームの世界で、多機能な「ガンブレラ」を駆使しながら超常現象を解き明かし、常軌を逸したカルト集団を撃ち抜こう。

『Gunbrella』は、天然資源が急速になくなりつつある世界で繰り広げられる重厚なノワールパンク・アクションアドベンチャーゲームだ。

復讐心に駆られた無愛想な森の住人のずぶ濡れの靴を履き、大口径の銃にも傘にもなる「ガンブレラ」を手にして見知らぬ街へと足を踏み入れよう。

あなたの地道な調査は、グールとギャングの不気味な徒党の内部組織、警察とカルト集団、企業開発の副産物など、さまざまなものを巻き込んでいくことになる。

ガンブレラを自在に操れ

ガンブレラ独自の操作性と至近距離での銃撃戦を最大限活かした横スクロールアクションを楽しもう。ガンブレラは単なる武器ではない。滑空やスイング、ダッシュ、ダイブなどを駆使して、道中に眠る不可解な秘密を解き明かそう。

隅々まで調査せよ

カルト集団の誘拐におびえる小さな街から、冷酷なギャングに支配された廃品置き場の要塞まで、多種多様の奇妙な土地を探索し、謎に包まれた人物たちを問い詰めよう。自分の足跡を見失わないように、発見したものを便利なノートに記録することも忘れずに…。

回収、再装填、繰り返し

スクラップやスペアパーツを入手すれば、どんなものも貫通させないあなたの武器専用の弾薬や強化品と交換できる。探索が進めば進むほど、より恐ろしい超常現象の存在を引きつけてしまうので、どんなアイテムでも必要となるはずだ。