『SOULVARS』は、近未来世界を舞台に特殊能力者たちによる戦いの日々を描いた、デッキ構築要素のあるバトルシステムが特徴的なロールプレイングゲームだ。

この世界は、魂の領域にまでテクノロジーが発達した頃から出現した異形の存在"ドミネーター"に人類は脅かされていた。プレイヤーは、特殊な能力を持った"ソウルベアラー"であるヤクモとなり、ドミネーターに対抗する民間組織「DDO」からの任務を受けて仲間と共に行動していく。

今回、2022年1月にモバイル版（Android, iOS）にてリリースされ好評を得た同タイトルが、Steam, Nintendo Switch, PS4/5, Xboxに最適化され、装いも新たにリリースされた形だ。

軽快に進むストーリー展開

本作は、ダークな展開が待ち受けるストーリーに沿って、マップ上に点在する目的のエリアに移動し、内部を探索してイベントなどの目的を達成することで進行していく。

エリア内は画面に収まる広さのフロアが繋がっていて、キャラクターを操作することなく、ワンボタンでフロア間を行き来する形だ。そこではNPCとの会話イベントが発生したり、アイテムを入手できるオブジェクトが置かれていたりするが、それもワンボタンでチェック可能だ。

こうした簡略化された仕様は、オリジナルがモバイル向けタイトルであった名残りとも言えるが、プレイヤーの手でキャラクターを動かしたいという欲求はあるものの、時間がかかりがちなRPGを軽快に進めることができるため、これはこれでプレイしやすいように感じた。

そして、その分だけバトルシステムや演出には力を入れて制作されているという印象だ。

戦略性の高いバトルシステム

移動したフロアで敵（ドミネーター）と遭遇すれば、そのままシームレスに戦闘に突入する。

戦闘はコマンドバトル方式。敵味方が交互に行動するターン制だが、敵の弱点や耐性に合わせたコマンドアクションを取ることでAP（行動回数）を増やし、複数のアクションを組み合わせることでより強力なアーツを発動させたり、またはストックすることで一気に放ったりなど、奥深い戦闘が楽しめる。

本作の特徴としてデッキ構築要素があるが、これは装備に込められたコマンドアクションの組み合わせをデッキに見立てたもので、毎ターン各キャラクターにデッキからコマンドが配られるというものだ。

敵との相性を考えてデッキを組み替えることで戦闘を有利に進めることができるが、パーティの人数分だけデッキは存在し、さらにコマンドの組み合わせによって発動するアーツも豊富。奥深いが故に覚えなければならない要素が多く、最初は思い通りに戦闘を展開させることが難しいかもしれない。

しかし、詳細なマニュアルもゲーム内に用意されていて、難しければ難易度調整も可能。バトルシステムに慣れて理解が進んでからが、こだわりの詰まった本作が真価を発揮するときなのだ。

1点気になるポイントとして、Steam版を事前プレイした時点では、戦闘シーンにおいてBGMと比較してSE（効果音）の音量が控えめだと感じた。臨場感に影響するので調整したいが、サウンドボリューム設定は全体一括のみでそれも叶わない。好みもあるが、BGMとSEを個別に調整できるように改善に期待したいところだ。

本作は、オリジナルとなるモバイル版からの進化系として、より遊びやすく最適化されたタイトルという印象だ。ピクセルアートで表現された、なめらかに動くアニメーションも大きな画面で楽しむことができる。

戦略性の高いバトルシステムに期待する今作からのプレイヤーだけでなく、モバイル版を遊び尽くしたというプレイヤーが再び手にとっても満足できるタイトルだろう。