2024年7月19日~21日(一般公開日は20~21日)にかけて、京都みやこめっせにて開催された日本最大級のインディーゲームの祭典「BitSummit Drift(ビットサミット ドリフト)」の出展作品より、筆者が注目する魅力的なタイトルをピックアップしてご紹介しよう。
なお、基本的にはリリース前の開発中のタイトルや、リリースから間もないタイトルを対象としている。
深層心理を覗き、真犯人にたどり着け
『KILLA』は、師匠を殺した真犯人を見つけるため容疑者たちの心を覗き込む、マルチエンディング方式の推理ミステリーアドベンチャーゲームだ。韓国のゲーム開発スタジオ"ケンキツ団"が手掛ける。
何者かによって師匠パンドラを殺された見習い薬剤師の主人公ヴァルハラは、師匠が遺した「…ラを殺せ…」という言葉を手がかりに犯人の正体を突き止めるため、謎めいた招待状に導かれて「願いを叶える島イプス」へと渡ることとなる。
師匠の遺言を犯人の名前と推測した主人公だが、島に集った人物たちの名前には全員「ラ」が付いていた。また、招待状が送られた枚数は5枚とのことだが集まった人数は7人。実はヴァルハラ自身も偽の招待状を手にしている状況だが、もう1人招かれていない人物がいるようだ。
このような全員が容疑者たり得る状況でストーリーが展開されていく。お気づきかと思うが、師匠と主人公の名前にも「ラ」が含まれているところも謎めいていて如何にもミステリアスだ。
本作のゲームシステムは、島内を巡って真犯人に繋がる情報を集め、推理を進めていくというもの。基本的には主人公を操作してのインタラクティブな探索パート。登場人物たちとの会話パート。そして、心の中を覗き込む特殊なパートで構成されている。
舞台となる島イプスは意外と広く、複数のエリアに分かれていて、移動可能な場所を隅々まで歩き回る必要がある。キャラクターや背景などが絵本やペーパークラフトのようなグラフィックで表現されているところが特徴的で、筆者が本作に惹かれた最初のポイントでもある。
各所では個性的なキャラクターたちと対話することができ、ミステリーらしくそのテキスト量は相当なもの。進行状況や選択肢によって会話の中身が変化し、島の状況や他人の情報、彼、彼女らの人となりを理解することもできる読み応えのあるものだった。
ただ、体験版に実装されている日本語のクオリティは正直微妙な状態。開発チームのChoi Da Eun氏とYoon Seeun氏にお話を伺ったところ、これは日本語がわかるメンバーがAI翻訳を利用して試験的に実装したものだそうで、今後ブラッシュアップ予定とのことなので期待しておきたい。
そして、もう1つ特徴的な要素が容疑者たちの心の中を覗き見るパート。師匠が遺した不思議な懐中時計の力によって、彼、彼女たちが語ろうとしない、または無意識に閉じ込めている深層心理にある真実に触れることができる。
今回の体験版では、登場人物の1人であるララの無意識下へと入り込んだ。非現実的な空間を舞台に、その思考をたぐるように推理し、ピースを当てはめていくと記憶が繋がり、寸劇のようなシーンへと移動。そこで彼女の記憶に沿って正しく人物を配置することで、過去が再現されるという仕組みとなっていた。
おそらく、この深層心理を覗き見るパートが主軸となってくるようで、表面的な対話や地道な捜査によって確固たる答えにたどり着く物語とは、また違った面白さが感じられた。
開発チームによれば「本当は残酷な童話」のような物語をモチーフとしているそうで、一筋縄でいかない容疑者たちとの群像劇のような本作が、どのような展開と結末を見せるのか楽しみだ。
本作の体験版はSteamでも配信中。本稿の執筆にあたり筆者もあらためてプレイしてみたが、BitSummit Driftの体験版では省略されていたストーリーの導入部分も収録されているので、会場で触った方もあらためてプレイしてみてはいかがだろうか。
現在の開発状況は50%ほどという『KILLA』は、2025年2月のリリース予定で鋭意開発中だ。
基本情報 | KILLA |
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開発 | Black Tangerine |
販売 | Black Tangerine |
配信日 | 2025年2月 / 日本語有り |
定価 | 未定(Steam) |