2024年7月19日~21日(一般公開日は20~21日)にかけて、京都みやこめっせにて開催された日本最大級のインディーゲームの祭典「BitSummit Drift(ビットサミット ドリフト)」の出展作品より、筆者が注目する魅力的なタイトルをピックアップしてご紹介しよう。
なお、基本的にはリリース前の開発中のタイトルや、リリースから間もないタイトルを対象としている。
楽園を目指して過酷な世界を戦い抜け
『.45 パラベラム ブラッドハウンド』は、人生に疲れた殺し屋がパライソ(楽園)を目指す、サイバーパンク・アクティブタイムアクションゲームだ。ベネズエラで生まれ、現在では国際的なメンバーが集うゲーム開発スタジオ"Sukeban Games"が手掛ける。
Steamにて2016年にサイバーパンク×バーテンダーADV『VA-11 Hall-A(ヴァルハラ)』をリリースし、根強いファンと多方面に影響を与える同スタジオの最新作として、2024年7月3日に正式タイトルが発表された本作。今回、BitSummit Driftにてブース出展された体験版をプレイすると共に、開発チームからお話を伺うことができた。
本作はもともと『Project D』と呼ばれ、2019年から正式に開発が進められていたもので、その存在自体は公式サイト上のブログやDev Logでも公にされていた。その動向を注目していた方にとっては、ついに発表かと期待に心躍らされたのではないだろうか。
だが一方で、それよりも先に発表されていた『VA-11 Hall-A』の続編『N1RV Ann-A(ニルヴァーナ)』はどうなったのか? という懸念も同時に生むことになったが、開発チームによれば複数のラインで並行して開発が進められていたそうで、完成度が上がった本作を先にリリースすることにしたのだという。
こちらの開発によって得られた経験もフィードバックされ、『N1RV Ann-A』の開発に活かされるということなので、同作に期待しているファンにとっても良いニュースだろう。
個性的なキャラクターと高難易度な戦闘が待つ
今回出展されていた体験版は、全7チャプターを予定しているという本作のチャプター1にあたり、物語冒頭と見られるシーンから始まる。元・殺し屋の主人公レイラを操作して廃墟を探索しつつ、異形の敵との死闘を繰り広げていくという内容だ。
初代PlayStationの時代を彷彿とさせるローポリゴンで描かれたグラフィックが特徴で、三人称視点となるカメラアングルも固定と、懐かしいゲームをプレイしている感覚を味わえた。
舞台となる廃墟は無機質な入り組んだ街並みで、各所の扉が鎖で閉ざされているなどして自由に行き来はできない状態。そこでマップ内を探索してキーアイテムとなるボルトカッターを見つけ出し、ショートカットの開放や新たな区画へと進んでいくことになる。
探索中に一定のエリアに踏み込むとエンカウントが発生し、シームレスに戦闘に突入。戦闘はリアルタイムに進行するが、コマンド選択による攻撃行動やアイテムを使用する際には時間が停止する「アクティブタイムアクション」と名付けられた戦闘が繰り広げられる。
コマンド選択時以外のアクティブなシーンでは常に時間が流れており、いったん行動を決定すると中断することができないため、そのアクションに要する時間や、敵の動きを予測しておかないとこちらもダメージを受けてしまいかねない。
敵の攻撃は強烈で数回もダメージを受ければ、あっという間にやられてしまうほどなので、常に戦闘フィールドを動き回って攻撃を避けつつ、敵の行動を見極めて、攻撃を加える隙を突くような緊張感のある戦い方が重要となってくるわけだ。
一瞬の判断ミスが致命傷となりかねず、取れる手段が限られた体験版という環境とは言え、筆者の感覚では難易度は相当に高めだと感じた。これは実際、フロム・ソフトウェアの手掛ける『ソウル』シリーズのようにプレイヤー自身の腕を磨いてほしいという意図があるとのこと。
なお、会場で体験版をプレイされた方や、プレイアブルシーンが垣間見えるトレーラーをご覧になった方の中には、このセミアクティブな戦闘システムに既視感を覚えた方もいらっしゃると思うが、本作は初代『パラサイト・イヴ』にインスパイアされているとのことなので、それも頷けるポイントだろう。
探索中には、会話が可能なさまざまなキャラクターと出会えるところも魅力の1つ。人間を超越したようなビジュアルを持ったキャラクターや、一筋縄ではいかないような訳知り顔の雰囲気をまとったキャラクターなど、その人物像の豊富さも『VA-11 Hall-A』を手掛けた同スタジオらしいとも感じたところだ。
ストーリーの全体像も見えておらず、リリース時期もまだ未定ではあるものの、そう遠くはない時期に届けてくれることを楽しみに待ちたい。
余談だが、作中の造形やキャラクターなどのビジュアルデザインからは、筆者の印象として漫画家・弐瓶 勉氏の『BLAME!』などの作品の世界観を彷彿とさせたが、開発チームに伺ったところ、大好きな作品であるとはしつつも意図して似せたわけではないとのこと。
ただ、好きな作品であるが故に、無意識に表現された部分もあるかもしれないと仰っていたことを付け加えておこう。
基本情報 | .45 パラベラム ブラッドハウンド |
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開発 | Sukeban Games |
販売 | Sukeban Games |
配信日 | 未定 / 日本語有り |
定価 | 未定(Steam) |