2024年6月22日に東京のベルサール秋葉原にて、「TOKYO SANDBOX 2024」が開催された。本稿では、筆者が実際に試遊して気になったタイトルをご紹介していこう。
舞台は90年代の日本のコンビニ
『inKONBINI: One Store. Many Stories』は、日本のコンビニが舞台のナラティブなシミュレーションゲームである。開発はNagai Industriesが手掛ける。
物語の主人公は大学生の早坂真琴。叔母が経営するコンビニを手伝うために小さな田舎町にやってきた。彼女はコンビニ店員として、レジ打ちや商品管理などのさまざまな作業を行いながら、常連客と心を通わしてゆく。
プレイヤーは叔母さんからの電話の指示やメモをチェックしながら、コンビニのさまざまな業務を行っていく。基本的な仕事は経営に関連するものというより、開店準備、商品の棚卸しや棚の整理、レジ打ちなどの実作業である。
コンビニ店員の仕事を体験するシミュレーションゲームとしての面白さもさることながら、コンビニに訪れる常連客との接客体験も非常に魅力的だ。プレイヤーが働くコンビニには、個性的な客がたくさん来店する。客一人一人の性格やクセに合わせた対応をすると、ストーリーが変化し、主人公の人生にも大きな影響を及ぼすことになる。
筆者が実際に試遊してみて印象的だったのは、商品の棚卸しや看板出しなどの単純作業だ。デモ版の中で、叔母さんからの「明日は暑くなるからソーダを棚に出してほしい」と指示を受けて、ソーダを冷蔵庫に並べる場面があった。このとき、きちんと商品の前面がお客さん側になるように並べないといけない。
筆者はコンビニでアルバイトをしたことがないこともあり、天候に合わせて商品を出すという発想は新鮮に感じられた。さらに、陳列時の商品の向きについては、普段全く意識したことがなかったので、ちょっと今からコンビニに行って商品棚を見に行こうかなという気持ちにもなった。
他に、90年代のコンビニの雰囲気が丁寧に再現されている印象を受けた。雑誌棚にはちょっと古さを感じるデザインの雑誌が、冷蔵庫にはビンの飲み物が並ぶ。レジも今ではなかなかお目にかかれない古いタイプのものだ。
最近は、セルフレジを導入しているスーパーやコンビニも多く、客や店員としてやりとりをする機会が減ってきた方が多いのではないだろうか。セルフレジなどの技術の進歩とともに私たちの生活は確実に変化していることにあらためて気づかされた。
開発者インタビュー「スマホのない時代を描きたかった」
開発スタジオNagai IndustriesのCEOであるクリューエフ ドミトリー氏にお話を伺った。
Nagai Industriesは、数年前から日本を拠点に活動中の8名のチームで、日本が大好きな海外出身のメンバーが集まっているとのこと。ドミトリー氏は、子どもの頃からセーラームーンやトランスフォーマーなどの日本のアニメやゲームが好きで、いつか日本に来たいと思っていたそうだ。ドリームキャストの『シェンムー』などもプレイしていたとのこと。
リラックスできるシミュレーションゲームを作りたいという思いと、日本のアニメ好きの海外の方に向けて日本の雰囲気や精神を感じて欲しいという思いから本作の制作に至っている。
90年代の日本のコンビニを舞台に選んだ理由についても伺った。現代は、スマホを持ちストレスフルな毎日を送っている方が多い。そのため、スマホがなくて時間がゆっくり流れているような場所を舞台に設定することで、プレイヤーにリラックスして欲しかったからとのこと。
さらに、90年代のコンビニを再現するために、90年代になかった商品が登場しないように注意したそうだ。お菓子のパッケージは、今のデザインではなく当時のデザインを参考にしている。
本作は、海外の方はもちろん、慌ただしい毎日からちょっと離れて心の疲れを癒やしたい方にもおすすめだ。小さな街の1つのコンビニ店で繰り広げられる数々の物語が気になる方は、下記リンクからウィッシュリストに登録しておこう。
基本情報 | inKONBINI: One Store. Many Stories |
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開発 | Nagai Industries |
販売 | Nagai Industries |
配信日 | 発表予定 / 日本語有り |
定価 | 未定(Steam) |