『8番のりば』は、日本の地下鉄と、ネットミームのリミナルスペースやバックルームなどにインスパイアを受けた、永遠に走り続ける電車からの脱出を目指す短編ウォーキングシミュレーターだ。日本の個人ゲーム開発スタジオ"KOTAKE CREATE(コタケクリエイト)"が手掛ける。
2023年11月29日にSteamにてリリースされ、国内外において大きな注目を集めた『8番出口』の続編としてローンチを迎えた本作のプレイレポートをご紹介しよう。
余談だが、本作を開発する"KOTAKE CREATE(コタケクリエイト)"は、以前は"コタケノトケケ"氏の名義で活動されていたが、2024年4月15日のXポストにて、以降は現在の名義とすることを表明されているので、本稿においてもそちらに準拠している。
ルールをプレイヤー自身で見つけ出そう
本作のゲームシステムは、永遠に止まらず走り続ける"地下鉄"と思しき空間からの脱出を目指すというもの。車内にはポツンと1人サラリーマン風の男性が座っているだけで、車両を移動しても同じ光景が繰り返される。
ただし、ある種の変化として車内にはなにがしかの"異変"が不規則に起こる。注意深く観察をしないと見抜けないもの。あからさまに目の前に現れるもの。大なり小なりさまざまなのだが、ここでプレイヤーが挑まなければならないのは「異変を発見すること」ではなく「ルールを見つけること」だ。
前作『8番出口』では、地下鉄駅構内をつなぐ地下通路のような場所を舞台にループからの脱出を目指したわけなのだが、異変を見つけたら引き返し、なければ引き返さないという一貫したルールがあらかじめ明示されていた。
しかし、本作には一貫したルールがなく、その都度に「異変を回避して先に進むためのルール」をプレイヤー自身が見つけ出さなければならない。
こちらの画像の異変を一例として紹介すると、この白い幽霊のような女性が出現しているが近づいても何も起こらない。だが、よく観察すると後ろの電光掲示板に「目を離すな」と表示されている。つまり、彼女から視線を外さずに次の車両へ移動することがルールとなる。
見逃してしまったり、理解しきれなかったりして失敗するとスタートした瞬間まで戻されてしまうが、「あれはどうすればよかったのだろうか?」と振り返るのもまた面白い。
ご存知のように『8番出口』には、これまで多数の類似作品(いわゆるフォロワータイトル)が生み出され、シンプルに模倣作品と言えるものから、独自要素を持って昇華させた派生作品もあったが、筆者の知る範囲では自らルールを探っていくようなものは無かったように思う。
こうしたスタイルの変化は極端なものではないが、前作のシステムをベースに1つ段階を上げてきたという印象があり、同作の開発者ならではのセンスが感じられる部分ではないだろうか。
8番シリーズは今作で終了予定
同氏のXポストによると『8番出口』と『8番のりば』の両作品をもって、同シリーズは終了予定。
今後は現在制作中である、不気味な巨大生物がひしめく惑星から故郷へ向けて脱出する手段を探すアドベンチャー『STRANGE SHADOW』に注力していきたいとのことだ。インディーゲームシーンに大きな波を起こした同氏の次回作に引き続き注目したい。
基本情報 | 8番のりば |
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開発 | KOTAKE CREATE |
販売 | KOTAKE CREATE |
配信日 | 2024年5月31日 / 日本語有り |
定価 | 470円(Steam) |