本稿は事前にレビューキーをご提供いただき、執筆しています。
『Sons of Valhalla サンズ・オブ・ヴァルハラ』は、ヴァイキングが活躍した時代をテーマとした「戦闘」と「拠点構築」の両方の要素を併せ持つ横スクロールアクションゲームだ。ドイツを拠点とするゲーム開発スタジオ"Pixel Chest"が手掛ける。
2022年3月に追加の開発資金を募ってKickstarterで実施されたクラウドファンディングでは、「アクションアドベンチャー要素のある2Dリアルタイムストラテジー」がコンセプトに掲げられており、複数の要素を1つの作品に落とし込んだ意欲作となっている。
今回事前にプレイする機会を頂いたので、本稿ではその内容と魅力についてご紹介しよう。
ローンチ前のレビュービルドの時点で一部表記ゆれと見られる箇所があるため、本稿における固有名詞は各プラットフォームのストアページ上の表記ではなく、ゲーム内テキスト表記に準拠している。
ヴァイキングの世界に漕ぎ出そう
本作の主人公はヴァイキングの戦士"ソラルド・オラヴソン"。彼の住む集落は敵対勢力の"ヴァルガード"によって襲撃され、首長である父を殺され、愛する妻までもが連れ去られてしまった。
敵を追う道半ばで倒れてしまうも、主神オーディンによって再び生命を得たソラルドは、授かった神秘的な力を武器に、敵地イングランドを舞台に拐われた妻を取り戻すための戦いに身を投じることになる。
本作の舞台は北欧。8~11世紀頃の西ヨーロッパ沿岸部を中心に、海賊行為だけでなく、交易など幅広い活動を行っていた「ヴァイキング」をテーマに描かれる。その姿は史実に則っているが、彼らの信じた北欧神話の神々が登場する要素も含んだ世界観となっている。
さまざまな作品の題材に取り上げられる「ヴァイキング」には強い魅力がある。ファンタジー世界の出来事のようにも感じられ、史実以上のイメージがついているようなところもあるものの、彼らの文化や生き様、精神性が現代に生きる私たちを惹きつけて止まないのだろう。
陣地を広げて敵地を占領しろ!
本作のゲームシステムは、横スクロールのステージを舞台に拠点となる「砦」を築いて拡張・発展させ、仲間のヴァイキングたちと共に敵陣地を攻略して占領していくことだ。
拠点には、以下のような設備を建設することが可能。設備名から想像できるように、建設やアップグレートに必要な資源を集めたり、味方の兵士(ユニット)を増強したり、敵陣地を攻める際に効果的な兵器を開発したりとさまざま。
- 木こり小屋
- 釣り小屋
- 兵舎
- 射撃場
- 鍛冶屋
- 攻城兵器工房
最初は獲得できる資源の量や、引き連れられる兵士の数や種類には限りがあるものの、アップグレードすることで効率が良くなっていくあたりは定番。そして、充分に戦力と防備を整えたら、敵陣地の攻略を目指し打って出るのだ。
主人公は兵士たちに攻撃・防御・追従・陣地防衛という簡潔な命令を出せるが、彼らは自律的には動いてくれない。死こそ名誉と言わんばかりに死ぬまで命令に従う様子は、ある意味ヴァイキングらしいのかもしれないのだが――
そこで、自由に動かせるプレイヤーキャラクターが肝となる。主人公は1人だけアクションゲームばりの動きができるので、強力な敵兵士を集中して倒したり、戦いを味方に任せて敵陣地の物資を漁ったりと効果的に立ち回れる。
そうして占領した陣地は自陣として活用でき、新たな設備を建ててさらなる資源や戦力の獲得が可能。もちろん敵勢力も攻めてくるので、奪った陣地の防備を整えることも必要にはなってくるのだが、意外と敵は消極的でこちらが攻勢を仕掛けている割合が多い印象だった(難易度にもよるかもしれないが)。
この繰り返しで、ステージ上の敵陣地を次々と占領していこう。
敵ボスとの一騎打ち
そのステージすべての敵陣地を占領すると、最後に敵ボスとの一騎打ちが待っている。先ほどまでのストラテジー要素から一転、アクションに特化した戦いが始まるのだ。
味方兵士に注意を払う必要がないので集中できるものの、その難易度は本格的なアクションタイトルと同様の手強さ。ボスの体力も動きもステージ上の雑兵とは比較にならず、お互いの手を尽くした熾烈な戦いを繰り広げなければならない。
もはや別ジャンルのゲームと言ってもいいぐらいの変わりようだが、これこそ複数の要素を兼ね備えた本作らしい特徴。拠点設備をアップグレードしておけば、主人公のHPやスタミナにボーナスを加えられるので助けとなるだろう。
そうして強敵に勝利すれば、晴れて新たなステージへと進むことができる。妻が連れ去られた理由、本当の敵、神々の思惑――思いも寄らない方向へと展開していくストーリーにも要注目だ。
『Kingdom』シリーズからのインスパイア
お気づきの方もいらっしゃると思うが、本作は『Kingdom Two Crowns』などの『Kingdom』シリーズに強くインスパイアされたアートワークとなっている。では、そのゲームシステムも同様かというと手触りは異なる。
大きな違いとしては、間接的に命令を下していくことが主軸である同シリーズに対して、先述のとおり、『Sons of Valhalla』は主人公自らがアグレッシブに打って出るアクション性の高さが特徴。味方兵士に命令は下しつつも、自ら剣をふるい、ボス戦ともなれば一騎打ちでの戦いを繰り広げるあたりはヴァイキングらしい。
一方、そもそも異なるジャンルが組み合わされているので、ストラテジー要素とアクション要素の両方に慣れていないと攻略のしにくさを感じてしまうという一面もある。拠点構築は得意でも、ボスに勝てないとなれば次に進めないのだが、難易度設定が用意されているのでその点もある程度フォローはされている。
『Kingdom』シリーズへのリスペクトと、本作ならではのオリジナリティが感じられる物語に魅力を感じたならば、このヴァイキングの世界にぜひ飛び込んでみてはいかがだろうか。
基本情報 | Sons of Valhalla |
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開発 | Pixel Chest |
販売 | Hooded Horse |
配信日 | 2024年4月5日 / 日本語有り |
定価 | 2,480円(Steam) |
2,480円(Epic Games Store) | |
$19.99(GOG) |