2024年3月2日~3日にかけて、東京・吉祥寺にて開催された「TOKYO INDIE GAMES SUMMIT 2024(以下、TIGS2024)」の出展作品より、筆者が注目する魅力的なタイトルをピックアップしてご紹介しよう。
先行して弊誌でも紹介したとおり、第2回目となる今回はメイン会場として「武蔵野公会堂」と「吉祥寺東急REIホテル」の2会場での開催。出展総数は133タイトルにのぼり、さまざまな作品が取りそろえられていた形だ。
優しい世界で紡ぐ、見習い魔女の成長物語
『ミカと魔女の山(Mika and The Witch's Mountain)』は、一人前の魔女になるためにゴーン山の頂上に戻ってくることを命じられ、山のふもとまで落とされてしまった見習い魔女ミカの奮闘する姿を描く、ミニオープンワールドのアドベンチャーゲームだ。
落とされた衝撃で荷物を失くし、愛用のホウキも壊れてしまうミカ。山頂に戻るにはホウキを直さなければならないが先立つものがない。そこで空飛ぶ能力を活かして、間に合わせの古いホウキにまたがり、ふもとの町で配達員の仕事をはじめるのだが――
配達先の町の住民たちと触れ合う中で、自分の進む道を見つめていくこととなり、彼女が一人前の魔女として成長するための物語が描かれていく。
本作のゲームシステムは、舞台となる周囲を海に囲まれた島にある町で、配達を請け負って荷物を届けるというものだ。主軸となるのはホウキに乗って空を飛ぶことだが、空を飛ぶために魔力が必要だとかそういうものはなく、いつでも自由にふわりと浮かんで飛べる。
ただし、間に合わせのホウキでは本来の力が出ないのか、あまり高く飛ぶことはできず、高度もすぐに下がってきてしまう。うっかり高度を下げて海に落ちると配達する荷物も濡れてしまい、配達員としての評価が下がってしまう、といった注意すべきポイントはあるが、操作に慣れれば自在に空を飛べるようになる感覚は気持ちがいい。
今回の試遊プレイでは、空を飛ぶという感覚と、配達をしながら個性的な住民たちとの会話を体験することができた。
ミカにはどうにかして頂上に戻らなければならないという思いはあるものの、日本語翻訳されたその会話シーンからは子供らしい無邪気さと、魔女だからかどこか浮世離れしているようなところがあり、プレイヤーを笑顔にする「何とかなるだろう」という楽観的で前向きな感情がよく読み取れた。
行動できる範囲には制限があったのでミニマムな体験ではあったが、製品版でより広くどこまでも飛んでいける感覚を味わうのが楽しみだ。
Kickstarterにて熱い支持を集めたタイトル
本作の開発は、スペインを拠点とする開発スタジオ"Chibig"が手掛ける。『サマー イン マーラ(Summer in Mara)』などで知られ、その優しい作風には定評がある。
本作は2023年2月~3月にかけてKickstarterにて実施されたプロジェクトで、24,159人の支援者と€1,300,368(現在の為替レートで約2億円)という、目標額の実に32倍を超える圧倒的支持を集めて開発が続けられている。実は筆者もそんな支援者の1人なので、その完成を楽しみに待ちたい。
『ミカと魔女の山(Mika and The Witch's Mountain)』は、Steam, PlayStation 5, Nintendo Switchに対応し、2024年内リリースに向けて鋭意開発中だ。
基本情報 | ミカと魔女の山(Mika and The Witch's Mountain) |
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開発 | Chibig, Nukefist |
販売 | Chibig |
配信日 | 2024年予定 / 日本語有り |
定価 | 未定(Steam) |